空手道競技中における外傷
〔要旨〕[目的]空手道競技における外傷の頻度及び特徴について検討を試みる. [対象と方法]平成9年から平成29年12月までの21年間に, 全日本空手道連盟に所属し, 愛知県を主体に実施された空手道競技の組手競技に惹起した外傷を対象として検討を加えた. 調査対象となった試合は, 愛知県空手道選手権大会, 愛知県高等学校総合体育大会空手道競技, 名古屋市空手道選手権大会などであった. [結果]組手競技大会総数173大会, 試合総数40385試合(男性29068試合, 女性11317試合), 外傷件数は2047件(5.1%)で, 男性1732件(6.0%), 女性315件(2.8%)であった. 年齢...
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Published in | 日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 27; no. 1; pp. 76 - 82 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床スポーツ医学会
31.01.2019
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ISSN | 1346-4159 |
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Summary: | 〔要旨〕[目的]空手道競技における外傷の頻度及び特徴について検討を試みる. [対象と方法]平成9年から平成29年12月までの21年間に, 全日本空手道連盟に所属し, 愛知県を主体に実施された空手道競技の組手競技に惹起した外傷を対象として検討を加えた. 調査対象となった試合は, 愛知県空手道選手権大会, 愛知県高等学校総合体育大会空手道競技, 名古屋市空手道選手権大会などであった. [結果]組手競技大会総数173大会, 試合総数40385試合(男性29068試合, 女性11317試合), 外傷件数は2047件(5.1%)で, 男性1732件(6.0%), 女性315件(2.8%)であった. 年齢別外傷件数はシニア30件(8.0%), 高校生968件(7.9%), 小学生512件(4.4%)の順に多かった. 外傷の内訳は, 指挫傷, 鼻出血, 頭部打撲の順に多かった. 入院に至った外傷は32件であったが, 死亡症例・重篤後遺症例は経験しなかった. また, 平成22年以降のルール見直しにより, 外傷頻度の低下傾向を認めた. [考察及び結論]全日本空手道連盟に所属の空手道競技は, 形競技と組手競技からなり, 組手競技は, 非コンタクトスポーツ(いわゆる寸止め)である. しかし相手と直接対峙する組手競技は外傷の可能性が常に付きまとう. 平成22年以降外傷頻度の低下傾向を認め, また過去21年間死亡症例・重篤後遺症例の経験はなく, 更に平成24年文部科学省報告による中学校・高等学校での運動部活動中における死亡・重度の障害事故の競技種目別頻度に, 空手道組手競技からの報告は散見しなかった. 以上より, 空手道組手競技は他の格闘技に比し安全性が担保されているスポーツ競技の可能性があることが示唆された. |
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ISSN: | 1346-4159 |