動脈硬化症の予防を目的としたフットケアを用いた看護相談の可能性の検討 - 「まちの保健室」における看護師による生活習慣病と足の相談

「要旨」 【目的】 動脈硬化症予防のために看護系A大学において専門まちの保健室「生活習慣病と足の看護相談」を開催している. 本研究では, 看護相談参加者の動脈硬化に影響する身体状況と足の状態を明らかにすること, フットケアを用いた看護相談の可能性を検討することを目的とした. 【方法】 対象者は, 看護相談の参加者32名. 看護相談の内容は, 1. 身体の計測(肥満度, 血圧, 動脈硬化度), 2. 足の観察(変形, 皮膚, 血流障害), 3. 足の手入れ(足浴, 爪切り, 角質や胼胝を削るケア), 4. 動脈硬化症の測定結果説明, 5. 対処法の提案であった. 看護相談の内容及び方法については...

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Published in兵庫県立大学看護学部・地域ケア開発研究所紀要 Vol. 22; pp. 69 - 80
Main Author 片岡千明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 兵庫県立大学看護学部・地域ケア開発研究所 01.03.2015
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ISSN1881-6592

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Summary:「要旨」 【目的】 動脈硬化症予防のために看護系A大学において専門まちの保健室「生活習慣病と足の看護相談」を開催している. 本研究では, 看護相談参加者の動脈硬化に影響する身体状況と足の状態を明らかにすること, フットケアを用いた看護相談の可能性を検討することを目的とした. 【方法】 対象者は, 看護相談の参加者32名. 看護相談の内容は, 1. 身体の計測(肥満度, 血圧, 動脈硬化度), 2. 足の観察(変形, 皮膚, 血流障害), 3. 足の手入れ(足浴, 爪切り, 角質や胼胝を削るケア), 4. 動脈硬化症の測定結果説明, 5. 対処法の提案であった. 看護相談の内容及び方法については, 研究者が糖尿病患者を対象に開発した「動脈硬化症による血流障害予防のために身体の理解を促すケアモデル」を参考に考えた. 対象者の動脈硬化に関する身体状況と足の状態, 看護相談に対する反応をデータとした. 参加者の反応のうち, 身体, 健康, 生活に関する言葉を抽出し, その意味の内容ごとに分類した. 兵庫県立大学看護学部・地域ケア開発研究所倫理委員会の承認を得てから研究を開始した. 【結果】 参加者の平均年齢は71.3歳であった. 動脈硬化に関する身体状況は, 肥満者は5名(15.6%)と少なく, 高血圧症の人が14名(43.8%)と半数近くいた. 動脈硬化に関しては, ABI(足関節上腕血圧比)0.9以下の下肢は3肢, PWV(脈波伝播速度)が自身の年齢の平均値より高値の人が31肢(48.4%)いた. 足の状態は, 外反母趾, 内反小趾, 偏平足, ハイアーチ, 左右のバランスが悪いなどの足のトラブルが36か所あった. 看護相談で得られた反応は, 「自分の身体を意識する」「生活状況を語る」, 「取り入れる対処法を決意する」があった. 【結論】 ・まちの保健室の参加者は, 動脈硬化のリスク因子をもっており, 動脈硬化の進行が見られたが自覚症状がなく, 自分の体のこととして捉えていなかった. ・足に何らかのトラブルを抱えている参加者が多く, フットケアをきっかけに, 自分の足や体, 生活について語り始めた. ・フットケアを用いた動脈硬化症予防のための看護相談の可能性が示唆された.
ISSN:1881-6592