Hemosuccus pancreaticusを呈した膵仮性嚢胞に巨大総腸骨動脈瘤を伴った1例

症例は69歳, 男性。背部痛を主訴に近医を受診し, 急性膵炎を疑われ同日入院した。精査にて径6cmの左総腸骨動脈瘤を認めたため, 当院に転院となった。腹部CT, MRI検査にて, 左総腸骨動脈瘤および膵体部に膵仮性嚢胞を認め, 嚢胞内出血が疑われた。緊急血管造影検査にて, 脾動脈根部から分枝した背側膵動脈の分岐部に仮性動脈瘤を形成し, 嚢胞内へ造影剤が流出し, 主膵管への流出も認め, hemosuccus pancreaticusを呈していたため, 仮性動脈瘤に対してコイル塞栓術を施行した。全身状態は徐々に改善し, 左総腸骨動脈瘤に対して, まず大腿・大腿動脈交叉型バイパス術を施行した。その後...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 24; no. 7; pp. 1201 - 1205
Main Authors 新谷, 恒弘, 松原, 健太郎, 松本, 賢治, 北島, 政樹, 井上, 史彦, 和多田, 晋, 金田, 宗久, 秋好, 沢林
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.11.2004
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem1993.24.1201

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Summary:症例は69歳, 男性。背部痛を主訴に近医を受診し, 急性膵炎を疑われ同日入院した。精査にて径6cmの左総腸骨動脈瘤を認めたため, 当院に転院となった。腹部CT, MRI検査にて, 左総腸骨動脈瘤および膵体部に膵仮性嚢胞を認め, 嚢胞内出血が疑われた。緊急血管造影検査にて, 脾動脈根部から分枝した背側膵動脈の分岐部に仮性動脈瘤を形成し, 嚢胞内へ造影剤が流出し, 主膵管への流出も認め, hemosuccus pancreaticusを呈していたため, 仮性動脈瘤に対してコイル塞栓術を施行した。全身状態は徐々に改善し, 左総腸骨動脈瘤に対して, まず大腿・大腿動脈交叉型バイパス術を施行した。その後, 左総腸骨動脈瘤にコイル塞栓術を施行した。術後の血管造影検査では, 膵仮性嚢胞ならびに左総腸骨動脈瘤への血流は認めず, 退院となった。本症例は, 比較的まれなhemosuccus pancreaticusをきたした病態に巨大総腸骨動脈瘤を伴っており, Inter-ventional Radiology (IVR) などさまざまな治療法の組み合わせにより良好な結果が得られた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem1993.24.1201