乳癌腋窩リンパ節転移に対するmaximum intensity projection表示法による術前MRI診断の有用性

乳癌腋窩リンパ節転移の存否を術前に診断し腋窩温存の可能性を判断する手段として,造影MRIを用いた腋窩のMIP表示法(以下,腋窩MIP法)を試行しその診断能の評価を行った.この腋窩MIP法により腋窩脂肪織全体を俯瞰し,そこに造影されたリンパ節を認めれば形態および経時的濃度変遷を診断基準として腋窩転移を術前診断して,摘出リンパ節の病理検索結果とつきあわせて検討した.腋窩MIP法の診断精度は感度90.9%, 特異度77.0%, 正診率80.2%, 陽性予知度54.1%, 陰性予知度96.6%であった.即ち,腋窩MIP法陰性と診断した症例のうち96.6%が腋窩温存可能と術前診断できたことになり,腋窩M...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 67; no. 3; pp. 553 - 560
Main Authors 名和, 正人, 川越, 肇, 浅野, 雅嘉, 立花, 進, 土屋, 十次, 熊澤, 伊和生
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床外科学会 25.03.2006
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.67.553

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Summary:乳癌腋窩リンパ節転移の存否を術前に診断し腋窩温存の可能性を判断する手段として,造影MRIを用いた腋窩のMIP表示法(以下,腋窩MIP法)を試行しその診断能の評価を行った.この腋窩MIP法により腋窩脂肪織全体を俯瞰し,そこに造影されたリンパ節を認めれば形態および経時的濃度変遷を診断基準として腋窩転移を術前診断して,摘出リンパ節の病理検索結果とつきあわせて検討した.腋窩MIP法の診断精度は感度90.9%, 特異度77.0%, 正診率80.2%, 陽性予知度54.1%, 陰性予知度96.6%であった.即ち,腋窩MIP法陰性と診断した症例のうち96.6%が腋窩温存可能と術前診断できたことになり,腋窩MIP法は患者に腋窩温存を選択する際の根拠を提供できると考える.また,腋窩MIP法の術前併用によりセンチネルリンパ節生検法(感度は色素法80%, RI法89%, 併用法96%) のskip転移や微小転移などによる見落しを減らし,その感度を向上させ得ると考える.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.67.553