多系統萎縮症の病態生理, 診断基準, 臨床経過
「要旨」多系統萎縮症 (MSA) は, 病理学的にglial cytoplasmic inclusionの出現を特徴とする進行性の神経変性疾患で, パーキンソニズム, 小脳失調, 自律神経不全, 錐体路徴候を経過中に種々の程度で認める. 孤発性が圧倒的に多い. パーキンソニズムが優位な臨床病型はMSA-P, 小脳失調が優位な臨床病型はMSA-Cと呼ばれる. 欧米ではMSA-Pが多く, 日本ではMSA-Cが多い. 平均発症年齢は55~60歳で, 若年発症例や, 75歳を超える高齢発症例もある. 診断には運動機能異常 (パーキンソン症状もしくは小脳性運動失調) と自律神経不全の存在が必須で, 両系...
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          | Published in | ディサースリア臨床研究 Vol. 9; no. 1; pp. 23 - 28 | 
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| Main Authors | , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            日本ディサースリア臨床研究会
    
        10.12.2019
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| ISSN | 2186-7186 | 
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| Summary: | 「要旨」多系統萎縮症 (MSA) は, 病理学的にglial cytoplasmic inclusionの出現を特徴とする進行性の神経変性疾患で, パーキンソニズム, 小脳失調, 自律神経不全, 錐体路徴候を経過中に種々の程度で認める. 孤発性が圧倒的に多い. パーキンソニズムが優位な臨床病型はMSA-P, 小脳失調が優位な臨床病型はMSA-Cと呼ばれる. 欧米ではMSA-Pが多く, 日本ではMSA-Cが多い. 平均発症年齢は55~60歳で, 若年発症例や, 75歳を超える高齢発症例もある. 診断には運動機能異常 (パーキンソン症状もしくは小脳性運動失調) と自律神経不全の存在が必須で, 両系統の症状が揃うまでの期間の中央値は2年である. 早期からのディサースリアや嚥下障害をはじめとするRed flagsサイン (診断を支持する特徴) にも留意する. 頭部MRIのほか, Tilt試験, ウロダイナミックスタディ, 123I-metaiodobenzylguanidine (MIBG) 心筋シンチグラフィーなどが補助検査として有用である. 予後は6年から10年で, 突然死が多いことが特徴であり, 高度な自律神経不全は予後不良因子である. 従来は稀と考えられていた認知症の合併をはじめ, 多様な臨床病型を呈する一群のあることも明らかとなっている. | 
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| ISSN: | 2186-7186 |