アクティブラーニングを導入した看護倫理演習が道徳的感受性, 職業的アイデンティティ及びプロフェッショナリズムに及ぼす影響 - 「倫理的判断をした行動を選択できる」という授業設計に基づいた看護倫理演習を教材として

「要旨」本研究の目的は, 「倫理的判断をした行動を選択できる」という授業設計に基づいた看護倫理演習前後で, 道徳的発達や職業的アイデンティティ, プロフェッショナリズムがどのように変化するのかを明らかにした. 看護系大学の3年生24名を介入群とコントロール群に分け, 介入群には看護倫理演習を臨地実習前と臨地実習を半期終えた時期の2回実施した. 介入前後で, 道徳的感受性, 職業的アイデンティティ, プロフェッショナリズムの尺度得点をコントロール群と比較した. 介入群の道徳的感受性得点は, 演習前31.3±3.7, 1回目の演習後32.9±4.9, 2回目の演習後34.5±3.4で, 一元配置分...

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Published in日本シミュレーション医療教育学会雑誌 Vol. 6; pp. 9 - 17
Main Authors 武用百子, 岩根直美, 明神哲也, 山岡由実, 川田美和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本シミュレーション医療教育学会 18.09.2018
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ISSN2187-9281

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Summary:「要旨」本研究の目的は, 「倫理的判断をした行動を選択できる」という授業設計に基づいた看護倫理演習前後で, 道徳的発達や職業的アイデンティティ, プロフェッショナリズムがどのように変化するのかを明らかにした. 看護系大学の3年生24名を介入群とコントロール群に分け, 介入群には看護倫理演習を臨地実習前と臨地実習を半期終えた時期の2回実施した. 介入前後で, 道徳的感受性, 職業的アイデンティティ, プロフェッショナリズムの尺度得点をコントロール群と比較した. 介入群の道徳的感受性得点は, 演習前31.3±3.7, 1回目の演習後32.9±4.9, 2回目の演習後34.5±3.4で, 一元配置分散分析後, 多重比較最小有意差検定を行うと, 演習前と比較し2回目の演習後で有意に得点が高かった(p<0.05). 職業的アイデンティティでは, 下位尺度のうち「医療職の選択と成長への自信」(p<0.05), 「医療職観の確立」(p<0.05), 「医療職として必要とされることへの自負」(p<0.01)において, 演習前と比較して2回目の演習後で有意に得点は高かった. プロフェッショナリズムでは, 下位尺度のうち「学習態度の向上」で演習前と比較し2回目の演習後で有意に得点が高かった(p<0.01). 一方コントロール群では, 道徳的感受性得点は有意差はなかった. 職業的アイデンティティのうち「医療職観の確立」とプロフェッショナリズムの「人間形成」で演習前に比べ1回目の演習後で有意に得点は高かった(p<0.05). 意図的に授業設計した教材を用いたアクティブラーニングを導入した看護倫理演習が看護学生の道徳的感受性を高めるために効果があることが示唆された.
ISSN:2187-9281