大脳皮質梗塞に伴う一過性ヘミコレア-ヘミバリスム症例

「要旨:」89歳男性が, 誤嚥性肺炎後の廃用症候群のリハビリテーション訓練入院中に, 突然意識障害と左不全片麻痺を, 7日後に精神的不穏, 左上下肢・頸部・体幹の動作時に増強する運動過多症を呈した. 運動過多症(不随意運動〉は左上肢近位部の筋活動を主体とするヘミ舞踏病-ヘミバリスム(Hemichorea-hemiballismus, HCB)と診断した. 病理学的にHCBの責任病巣は対側視床下核とされるが, MRI上の虚血性変化は右大脳皮質から白質に及び, 視床下核病変は明らかではなかった. 機能的ネットワークマッピングでは, 対側の被殻後外側部位に位置するネットワークの関与が指摘され, 本症...

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Published in運動障害 Vol. 31; no. 1; pp. 12 - 18
Main Authors 長岡正範, 山崎葵, 渋谷怜那
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本運動障害研究会 10.07.2021
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ISSN0917-5601

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Summary:「要旨:」89歳男性が, 誤嚥性肺炎後の廃用症候群のリハビリテーション訓練入院中に, 突然意識障害と左不全片麻痺を, 7日後に精神的不穏, 左上下肢・頸部・体幹の動作時に増強する運動過多症を呈した. 運動過多症(不随意運動〉は左上肢近位部の筋活動を主体とするヘミ舞踏病-ヘミバリスム(Hemichorea-hemiballismus, HCB)と診断した. 病理学的にHCBの責任病巣は対側視床下核とされるが, MRI上の虚血性変化は右大脳皮質から白質に及び, 視床下核病変は明らかではなかった. 機能的ネットワークマッピングでは, 対側の被殻後外側部位に位置するネットワークの関与が指摘され, 本症例のMRI病変はこれに関連する可能性がある.
ISSN:0917-5601