まれな小腸原発悪性神経鞘腫(malignant schwannoma)を含む異時性四重複悪性腫瘍の1例

今回, 我々は非常にまれな小腸原発悪性神経鞘腫(malignant schwannoma)を含む, 異時性四重複悪性腫瘍の1例を経験したので報告する. 症例は79歳の女性. 既往歴としてS状結腸癌, 甲状腺癌があった. 強い腹痛と腹部膨満を主訴に受診, 汎発性腹膜炎の診断で緊急開腹術となった. 開腹時, 小腸に穿孔性の腫瘍を認めたため小腸切除術を施行した. 腫瘍は病理組織学的に非上皮性で, 大小不同, 多形性, 不整分裂像をもった細胞より成り立ち, 免疫染色上, S-100, NSE, vimentinが陽性, MSA, desmin, CD-34, c-kitが陰性であった. 以上より小腸原...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 35; no. 8; pp. 1433 - 1437
Main Authors 稲葉, 征四郎, 荒木, 康伸, 清水, 健, 中田, 雅支, 松下, 由紀, 小山, 拡史, 山田, 英二, 荻野, 敦弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.08.2002
一般社団法人日本消化器外科学会
The Japanese Society of Gastroenterological Surgery
Subjects
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.35.1433

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Summary:今回, 我々は非常にまれな小腸原発悪性神経鞘腫(malignant schwannoma)を含む, 異時性四重複悪性腫瘍の1例を経験したので報告する. 症例は79歳の女性. 既往歴としてS状結腸癌, 甲状腺癌があった. 強い腹痛と腹部膨満を主訴に受診, 汎発性腹膜炎の診断で緊急開腹術となった. 開腹時, 小腸に穿孔性の腫瘍を認めたため小腸切除術を施行した. 腫瘍は病理組織学的に非上皮性で, 大小不同, 多形性, 不整分裂像をもった細胞より成り立ち, 免疫染色上, S-100, NSE, vimentinが陽性, MSA, desmin, CD-34, c-kitが陰性であった. 以上より小腸原発悪性神経鞘腫と診断した. 術後経過中, 食道癌(第4癌)も発見されたが, 全身状態悪化のため死亡した. 本症例は異時性にS状結腸癌, 甲状腺癌, 小腸悪性神経鞘腫, 食道癌(同時性)の四悪性腫瘍を重複した非常にまれな症例と考えられた. 本症例における神経鞘腫の診断には免疫染色が有用であった.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.35.1433