胸郭出口症候群の診断におけるMRIの有用性の検討

〔要旨〕 (目的)我々は, 胸郭出口症候群(TOS)の画像検査として, 脳血管系の描出で知られるMRIにおける最大値投射法(MIP)を応用してきた. 本研究では, MIPにて得られたMR画像から血管と神経束の狭窄率を算出し, その有効性を検討する. (方法)対象は, 臨床的にTOSを疑われ当院で本法を施行した100例(男58例, 女42例)である. Wright testに準じた肢位で3D-STIRを撮像, MIPにて再構成し肋鎖間隙での鎖骨下動静脈, 神経束を評価した. (1)狭窄の程度を独自に4段階に分類し, (2)狭窄率を矢状断像にて, それぞれの最小径を最大径で除して算出した. 手術を...

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Published in日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 30; no. 2; pp. 428 - 434
Main Authors 小川健, 大西信三, 馬見塚尚孝, 辰村正紀, 万本健生, 平野篤, 山崎正志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床スポーツ医学会 30.04.2022
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ISSN1346-4159

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Summary:〔要旨〕 (目的)我々は, 胸郭出口症候群(TOS)の画像検査として, 脳血管系の描出で知られるMRIにおける最大値投射法(MIP)を応用してきた. 本研究では, MIPにて得られたMR画像から血管と神経束の狭窄率を算出し, その有効性を検討する. (方法)対象は, 臨床的にTOSを疑われ当院で本法を施行した100例(男58例, 女42例)である. Wright testに準じた肢位で3D-STIRを撮像, MIPにて再構成し肋鎖間隙での鎖骨下動静脈, 神経束を評価した. (1)狭窄の程度を独自に4段階に分類し, (2)狭窄率を矢状断像にて, それぞれの最小径を最大径で除して算出した. 手術を行った22例を手術群, 保存治療が奏功した78例を保存群として, (1)(2)についてMann-Whitney U検定を用い統計学的に比較した. (結果)狭窄の程度は, 手術群の鎖骨下静脈が有意に強く(p<0.01), 鎖骨下動脈では有意な差は認めなかった(p=0.33). 狭窄率は, 鎖骨下静脈にて手術群で有意に高かった(p=0.03)のに対し, 鎖骨下動脈と神経束では2群間に差はなかった(p=0.22, 0.53). (考察)MRI-MIP画像は, より重症と考えられる手術例の鎖骨下静脈において高い狭窄率を示しており, 血管神経束の狭窄状況を把握するための補助診断ツールとして, 有用性が示唆された.
ISSN:1346-4159