肺外病変を伴う肺結核に対してイソニアジドを使用し, 酩酊感が出現した慢性腎不全の1例

「要旨」:症例は5年前より糖尿病性腎症で血液透析中の55歳男性. 3年前より不明熱を認めていた. 精査にて臨床的に肺結核と結核性リンパ節炎が疑われ, 診断的治療としてINH, RFPおよびEBが開始された. 治療開始後は速やかに解熱傾向となり, 抗結核薬は有効と考えられたが, 内服開始3日目より酩酊感が出現した. 頭部CT検査や髄液検査では明らかな異常を認めず, 抗結核薬による副作用が疑われたため, 抗結核薬を中止した. 内服中止により症状は改善したが, INHの再投与により酩酊感が出現した. INH再投与時の血中トラフ濃度測定を行ったところ, INHとAcINHは健常人のピーク濃度に近い値で...

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Published in結核 Vol. 88; no. 10; pp. 703 - 708
Main Authors 齊木雅史, 本多隆行, 曽我美佑介, 深澤一裕, 宮下義啓, 佐野和美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本結核病学会 15.10.2013
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ISSN0022-9776

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Summary:「要旨」:症例は5年前より糖尿病性腎症で血液透析中の55歳男性. 3年前より不明熱を認めていた. 精査にて臨床的に肺結核と結核性リンパ節炎が疑われ, 診断的治療としてINH, RFPおよびEBが開始された. 治療開始後は速やかに解熱傾向となり, 抗結核薬は有効と考えられたが, 内服開始3日目より酩酊感が出現した. 頭部CT検査や髄液検査では明らかな異常を認めず, 抗結核薬による副作用が疑われたため, 抗結核薬を中止した. 内服中止により症状は改善したが, INHの再投与により酩酊感が出現した. INH再投与時の血中トラフ濃度測定を行ったところ, INHとAcINHは健常人のピーク濃度に近い値で蓄積しており, 本症例でのピーク値はさらに高値であったと推測された. 既報ではINHにおける酩酊感の報告は少なく, 本症例ではINHが高濃度に蓄積されたため酩酊感を呈したと考えられた.
ISSN:0022-9776