分子標的薬による皮膚障害の症状マネジメントの実態

「要旨」【目的】分子標的薬による皮膚障害に対する患者の認知, 対処, 日常生活への影響など, 症状マネジメントの実態について明らかにすること. 【方法】1)研究デザイン:Doddら(2001)の症状マネジメントモデルの概念枠組みを用いた観察研究 2)調査期間:2013年7月~2015年3月 3)研究協力者:外来でEGFR阻害剤による治療を受け, 皮膚障害が出現した患者で, 同意の得られた者. 4)データ収集方法:症状出現時と6週間後に半構成的面接を実施した. また, 皮膚症状, 自己効力感, QOL, セルフケアレベルの評価を行った. 5)分析方法:症状出現時と6週間後の結果から, 特徴や変化...

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Published in兵庫県立大学看護学部・地域ケア開発研究所紀要 Vol. 24; pp. 93 - 103
Main Authors 西谷葉子, 湯浅幸代子, 細見裕久子, 北山奈央子, 礒元淳子, 中野宏恵, 内布敦子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 兵庫県立大学看護学部・地域ケア開発研究所 01.03.2017
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ISSN1881-6592

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Summary:「要旨」【目的】分子標的薬による皮膚障害に対する患者の認知, 対処, 日常生活への影響など, 症状マネジメントの実態について明らかにすること. 【方法】1)研究デザイン:Doddら(2001)の症状マネジメントモデルの概念枠組みを用いた観察研究 2)調査期間:2013年7月~2015年3月 3)研究協力者:外来でEGFR阻害剤による治療を受け, 皮膚障害が出現した患者で, 同意の得られた者. 4)データ収集方法:症状出現時と6週間後に半構成的面接を実施した. また, 皮膚症状, 自己効力感, QOL, セルフケアレベルの評価を行った. 5)分析方法:症状出現時と6週間後の結果から, 特徴や変化について分析した. 【結果・考察】研究協力者は5名であり, 全員に皮膚乾燥が出現していた. 同時に複数の皮膚症状が出現していたが, Grade 2以上の皮膚症状の数に変化はなかった. 自己効力感, QOL, セルフケア能力ともに, 1回目より2回目で低下する傾向がみられた. 皮膚の変化は目で見えることから, 皮膚症状に対する患者の認知は, タイムリーで確実であった. しかし, 患者の対処は, 回避的で消極的なものであった. 皮膚障害は, 過去のよく似た症状の経験や, 自分の生活を縮小することで折り合いをつけやすい症状である. そのため, 患者は皮膚症状が出現しても, そのまま放置したり, 医療者への相談が遅れがちな症状であると考えられる. 結果から, 皮膚障害の知識, 技術の提供だけでなく, 継続的で積極的な看護介入が必要であることが示唆された.
ISSN:1881-6592