肺結核治療中に, 高度の汎血球減少をきたし再生不良性貧血と診断した1例

「要旨」 : 結核治療において, 免疫抑制状態にある患者, あるいは免疫抑制療法を必要とする合併症をもつ患者の治療は困難となることが多い. 肺結核治療中に再生不良性貧血を発症した症例を報告する. 症例は85歳, 男性. 肺結核治療開始5カ月目に高度な汎血球減少を認め, 薬剤性の血球減少を疑いisoniazid (INH) , rifampicin (RFP) 休薬したが汎血球減少は進行, 遷延した. 血液疾患の合併を疑い骨髄検査等を施行し再生不良性貧血と診断した. 原因として薬剤性血球減少の可能性を否定できず結核治療は治療薬剤をstreptomycin (SM) , levofloxacin...

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Published in結核 Vol. 94; no. 7; pp. 419 - 423
Main Authors 松尾信子, 對馬秀樹, 澤井豊光, 赤城和優, 井手昇太郎, 吉岡寿麻子, 迎寛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本結核病学会 15.07.2019
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ISSN0022-9776

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Summary:「要旨」 : 結核治療において, 免疫抑制状態にある患者, あるいは免疫抑制療法を必要とする合併症をもつ患者の治療は困難となることが多い. 肺結核治療中に再生不良性貧血を発症した症例を報告する. 症例は85歳, 男性. 肺結核治療開始5カ月目に高度な汎血球減少を認め, 薬剤性の血球減少を疑いisoniazid (INH) , rifampicin (RFP) 休薬したが汎血球減少は進行, 遷延した. 血液疾患の合併を疑い骨髄検査等を施行し再生不良性貧血と診断した. 原因として薬剤性血球減少の可能性を否定できず結核治療は治療薬剤をstreptomycin (SM) , levofloxacin (LVFX) に変更, 治療期間を延長し完了した. 再生不良性貧血に対しては結核治療中であることを考慮し, 免疫抑制療法を選択せず, metenolone acetateとeltrombopagによる治療を主体に輸血による支持療法を併用し良好な経過である. 抗結核薬投与中に遷延する高度の汎血球減少をきたす場合, 薬剤性の血球減少以外にも血液疾患の偶発的な合併の可能性を考える必要がある. また, 結核治療と合併疾患のコントロールを両立させる工夫が必要である.
ISSN:0022-9776