自家骨付き膝蓋腱を用いたACL再建術後10年後に生じた膝蓋腱断裂に対して膝蓋腱再建術およびACL再々建術を行った1例

〔要旨〕 自家骨付き膝蓋腱(以下BTB)は, 膝前十字靱帯(以下ACL)再建術において術後ハイレベルスポーツへの復帰を望む若年者を中心に広く用いられている. 自家BTBによるACL術後の膝蓋腱断裂は稀であり, その多くは術後早期に生じることが多いとされている. 本研究では, 自家BTBを用いたACL再建術後10年後に生じた膝蓋腱断裂の1症例(27歳男性)対して, 同側の骨付き大腿四頭筋腱にて膝蓋腱を再建および同側の半腱様筋腱を用いてACL再々建術を行った症例を報告した. 膝蓋腱断裂が生じるまで無症状であったこと, 膝蓋腱断裂時MRI所見で断裂周囲組織の腫脹が少なかったこと, 膝蓋腱再建術時の所...

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Published in日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 30; no. 2; pp. 516 - 521
Main Authors 富原朋弘, 谷内政俊, 瀧上順誠, 金子寛之, 島田永和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床スポーツ医学会 30.04.2022
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ISSN1346-4159

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Summary:〔要旨〕 自家骨付き膝蓋腱(以下BTB)は, 膝前十字靱帯(以下ACL)再建術において術後ハイレベルスポーツへの復帰を望む若年者を中心に広く用いられている. 自家BTBによるACL術後の膝蓋腱断裂は稀であり, その多くは術後早期に生じることが多いとされている. 本研究では, 自家BTBを用いたACL再建術後10年後に生じた膝蓋腱断裂の1症例(27歳男性)対して, 同側の骨付き大腿四頭筋腱にて膝蓋腱を再建および同側の半腱様筋腱を用いてACL再々建術を行った症例を報告した. 膝蓋腱断裂が生じるまで無症状であったこと, 膝蓋腱断裂時MRI所見で断裂周囲組織の腫脹が少なかったこと, 膝蓋腱再建術時の所見では膝蓋腱断裂部は連続性のある脆弱な瘢痕様組織であったことなどから, 緩徐な膝蓋腱変性によって初回ACL再建術後10年後に膝蓋腱断裂が発生したと考えられる.
ISSN:1346-4159