長期携帯型気胸ドレナージ治療が有効であったMACによる難治性気胸の1例

「要旨」: 症例は20年来のリウマチ肺に対するステロイド治療を行っていた67歳の男性. 発熱, 息切れ, 胸痛を主訴に受診し, 肺炎を伴う右気胸の診断で胸腔ドレナージが施行された. 喀痰, 胸水からMycobacterium intracellulareが同定され, 同菌による肺炎, 胸膜炎の診断でCAM, RFP, EBの3剤併用療法が導入された. 右肺の虚脱は遷延し, 胸膜癒着術の効果は見込めず, 間質性肺炎急性増悪のリスクなどがあり, この時点で外科的治療を行うのは危険性が高いと判断された. 持続する気胸に対し, ADLを維持する目的で携帯型気胸ドレナージキットを用い外来管理を行った....

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Published in結核 Vol. 93; no. 6; pp. 427 - 431
Main Authors 内田賢典, 柿崎有美子, 宮下義啓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本結核病学会 15.06.2018
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ISSN0022-9776

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Summary:「要旨」: 症例は20年来のリウマチ肺に対するステロイド治療を行っていた67歳の男性. 発熱, 息切れ, 胸痛を主訴に受診し, 肺炎を伴う右気胸の診断で胸腔ドレナージが施行された. 喀痰, 胸水からMycobacterium intracellulareが同定され, 同菌による肺炎, 胸膜炎の診断でCAM, RFP, EBの3剤併用療法が導入された. 右肺の虚脱は遷延し, 胸膜癒着術の効果は見込めず, 間質性肺炎急性増悪のリスクなどがあり, この時点で外科的治療を行うのは危険性が高いと判断された. 持続する気胸に対し, ADLを維持する目的で携帯型気胸ドレナージキットを用い外来管理を行った. その後, 2度にわたるEWSの留置で気胸の改善を図ったが, 改善は得られなかった. 6カ月間の抗酸菌症治療後の手術にて気胸は改善した. 今回われわれは肺非結核性抗酸菌症による気胸の外来管理を継続することでADLを維持しつつ, 手術につなげられた貴重な症例を経験した. MACに対する薬物療法は長期にわたり, MACによる難治性気胸に対し外来でのドレナージの継続はADLを維持するためにも有効であると考えられたため報告する.
ISSN:0022-9776