RPA法によるらい菌熱ショック蛋白65kD mRNAの検出とNASBA法の試み
研究目的:ハンセン病の基礎研究や臨床において, 迅速に, 生菌を検出, 定量できる技術が必要である. 我々は, らい菌のviability測定を目的に, DNAや蛋白に比べて代謝回転の速いmRNAの検出を試みている. 前回は, RNase protection assay(RPA)法によってらい菌hsp65mRNAを検出する系を確立し, RPA法が数ベースの相違も検出できる特異性の高い方法であることを示した. 今回は, 多量のらい菌を用いてさらに, RNA抽出法の検討を行い, らい菌hsp65mRNAを検出した. また, 有効なRNA増幅法であるNucleic acid sequence-ba...
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| Published in | 日本ハンセン病学会雑誌 Vol. 67; no. 1; p. 43 |
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| Main Authors | , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本ハンセン病学会
31.03.1998
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| ISSN | 1342-3681 |
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| Summary: | 研究目的:ハンセン病の基礎研究や臨床において, 迅速に, 生菌を検出, 定量できる技術が必要である. 我々は, らい菌のviability測定を目的に, DNAや蛋白に比べて代謝回転の速いmRNAの検出を試みている. 前回は, RNase protection assay(RPA)法によってらい菌hsp65mRNAを検出する系を確立し, RPA法が数ベースの相違も検出できる特異性の高い方法であることを示した. 今回は, 多量のらい菌を用いてさらに, RNA抽出法の検討を行い, らい菌hsp65mRNAを検出した. また, 有効なRNA増幅法であるNucleic acid sequence-based amplification(NASBA)法を試みた. 材料と方法:らい菌hsp65発現マウス細胞株(141), 各種抗酸菌, BALB/cヌードマウス足蹠にて増菌したらい菌(Thai-53株), アルマジロにて増菌したらい菌(Thai-53株)より, AGPC法等を用いて総RNAの抽出を行った. RPA法;らい菌hsp65mRNAのアンチセンスRNAプローブは, 前回同様, 33P標識CTPを加えた転写反応により作成し, 総RNAと溶液中でハイブリダイズさせた後, RNaseによって分解し, 尿素変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(u-PAGE)にて解析した. NASBA法;T7プロモーターを含むアンチセンスプライマーA1(685-707), B1(669-689), センスプライマーA2(487-506), B2(500-520), NASBA Amplification kit(TOYOBO)を用いてRNA増幅反応を行った. 反応後のサンプルは, 33P標識センスプローブ(65P;559-581)を含むX1 SSC溶液中で, 65℃15分反応させた後, PAGEを行い, プローブと特異的にハイブリダイズしたバンドを指標に, 目的産物の検出を行った. 結果と考察:アルマジロにて増菌したらい菌は, 遠藤らの方法で精製後, 液体窒素にて急速凍結させ, ポリトロンを用いて破砕した. この, 前処理を行って抽出した総RNA20μgを用いてRPAを行ったところ明らかなバンドが見られた. NASBA法では, 細胞141より得たpolyA(+)mRNAを陽性コントロールとして, プライマーの組み合わせを検討した. A1/A2およびA1/B2の組み合わせでは, 増幅産物中に65Pと特異的にハイブリダイズするバンドがみられたが, 他の組み合わせでは, バンドは薄かった. 上記らい菌総RNAを用いてNASBAを行ったところ, 65Pと反応した特異バンドは, 検出されなかった. RNAをさらに精製し, 反応系に加えるRNA量を減じたところ, 特異バンドが検出され, NASBA法では, 精製度の高いRNAを用いる必要があると考えられた. 現在, 感度, 特異性を検討中である. |
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| ISSN: | 1342-3681 |