骨髄異形成症候群患者に合併したMycobacterium intracellulareによる播種性非結核性抗酸菌症

「要旨」 : 症例は71歳の男性. 骨髄異形成症候群の経過中に繰り返す発熱を認め, 入院精査を行いつつ抗菌薬および抗真菌薬による治療を1カ月以上行ったが奏効しなかった. 骨髄検査を施行したところ骨髄異形成症候群の急性骨髄性白血病への転化と血球貪食像を認めた. また骨髄抗酸菌液体培養にて抗酸菌が検出され, DDH法にてMycobacterium intracellulareと判明した. 血液抗酸菌液体培養からもM.intracellulareが検出され, 播種性MAC症とそれに伴う血球貪食症候群と考えられた. HIV感染は陰性であり, MAC症および血球貪食症候群に対する治療を開始することで全身...

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Published in結核 Vol. 90; no. 3; pp. 425 - 430
Main Authors 香川友祐, 中尾心人, 曽根一輝, 青木佐知子, 佐藤英文, 村松秀樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本結核病学会 15.03.2015
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ISSN0022-9776

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Summary:「要旨」 : 症例は71歳の男性. 骨髄異形成症候群の経過中に繰り返す発熱を認め, 入院精査を行いつつ抗菌薬および抗真菌薬による治療を1カ月以上行ったが奏効しなかった. 骨髄検査を施行したところ骨髄異形成症候群の急性骨髄性白血病への転化と血球貪食像を認めた. また骨髄抗酸菌液体培養にて抗酸菌が検出され, DDH法にてMycobacterium intracellulareと判明した. 血液抗酸菌液体培養からもM.intracellulareが検出され, 播種性MAC症とそれに伴う血球貪食症候群と考えられた. HIV感染は陰性であり, MAC症および血球貪食症候群に対する治療を開始することで全身状態の改善を認めた. その後急性骨髄性白血病に対する治療も開始したが, 治療中に喀血死した. 造血器疾患をもつ患者に原因不明の発熱を認めた際には, 播種性非結核性抗酸菌症も視野に入れた原因検索が必要と考えられた.
ISSN:0022-9776