基礎疾患のない患者に肺および脊椎病変をきたしたMycobacterium intracellulareによる非結核性抗酸菌症の1例

「要旨」: 症例は73歳, 女性. 肺非結核性抗酸菌症(NTM)を近医で指摘されていたが, 無治療で経過観察中であった. 免疫抑制をきたすような基礎疾患はなかった. 入院4ヵ月から腰痛が出現し, 持続するため近医を受診した. 脊椎MRIにて化膿性脊椎炎を疑われ, 当院整形外科に紹介となり入院となった. 入院後, 脊椎MRIにてL5/S1の脊椎炎を認め, 抗菌薬投与を行ったが, 無効であったため手術を施行した. 手術検体からMycobacterium avium complexを検出し, 病理組織所見にて壊死を伴う類上皮細胞性肉芽腫形成を認めた. 同菌による脊椎炎と考え, rifampicin,...

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Published in結核 Vol. 88; no. 6; pp. 559 - 564
Main Authors 伊藤明広, 橋本徹, 石田直, 橘洋正, 興梠陽平, 時岡史明, 吉岡弘鎮
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本結核病学会 15.06.2013
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ISSN0022-9776

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Summary:「要旨」: 症例は73歳, 女性. 肺非結核性抗酸菌症(NTM)を近医で指摘されていたが, 無治療で経過観察中であった. 免疫抑制をきたすような基礎疾患はなかった. 入院4ヵ月から腰痛が出現し, 持続するため近医を受診した. 脊椎MRIにて化膿性脊椎炎を疑われ, 当院整形外科に紹介となり入院となった. 入院後, 脊椎MRIにてL5/S1の脊椎炎を認め, 抗菌薬投与を行ったが, 無効であったため手術を施行した. 手術検体からMycobacterium avium complexを検出し, 病理組織所見にて壊死を伴う類上皮細胞性肉芽腫形成を認めた. 同菌による脊椎炎と考え, rifampicin, ethambutol, clarithromycin, streptomycin 4剤による化学療法を開始した. 治療経過良好であり, 第113病日に退院となった. 現在も外来にて化学療法を継続中であるが, 肺病変と脊椎炎の増悪なく経過良好である. 近年, 基礎疾患のない患者に発症するNTMによる脊椎炎が増加傾向にあり, 感染性脊椎炎の鑑別診断として化膿性脊椎炎や結核性脊椎炎のみならずNTMによる脊椎炎も念頭におき診療する必要があると考えられる.
ISSN:0022-9776