運動器検診結果からみた小学生の運動器の特徴

〔要旨〕本研究は, 小学生の運動器検診の結果から運動器所見の実態を把握し, 小学生における運動器の特性に関する基礎的資料の構築を目的とした. 有効な児童データは1548名中1487名であった. 全児童において所見率が特に高かった項目は, 前屈制限12.8%, 扁平足10.4%, 足関節可動域制限4.9%, X脚3.6%, 疼痛4.5%であった. 男子では, 女子と比較して特に前屈制限18.5%, 扁平足11.2%, 足関節可動域制限6.2%, 疼痛5.5%が高い所見率を示した. また, 女子では, 男子と比較して外反肘5.6%, X脚4.1%が高い所見率を示した. そのうち, 前屈制限, 足関...

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Published in日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 27; no. 1; pp. 66 - 75
Main Authors 可西泰修, 鎌田浩史, 眞下苑子, 藁科侑希, 塚越祐太, 田中健太, 山崎正志, 宮川俊平, 白木仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床スポーツ医学会 31.01.2019
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ISSN1346-4159

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Summary:〔要旨〕本研究は, 小学生の運動器検診の結果から運動器所見の実態を把握し, 小学生における運動器の特性に関する基礎的資料の構築を目的とした. 有効な児童データは1548名中1487名であった. 全児童において所見率が特に高かった項目は, 前屈制限12.8%, 扁平足10.4%, 足関節可動域制限4.9%, X脚3.6%, 疼痛4.5%であった. 男子では, 女子と比較して特に前屈制限18.5%, 扁平足11.2%, 足関節可動域制限6.2%, 疼痛5.5%が高い所見率を示した. また, 女子では, 男子と比較して外反肘5.6%, X脚4.1%が高い所見率を示した. そのうち, 前屈制限, 足関節可動域制限, 外反肘, 疼痛の有無にて男女間の有意差があった. 学年別では, 前屈制限および扁平足は4年生, 足関節可動域制限は6年生で最も高い所見率が示された. なお, 前屈制限では学年間で所見率に有意差があり, 4年生に特に高く, 1年生に特に低いことが認められた. また, 足関節可動域制限では, 学年間で所見率に有意差があり, 1年生に特に低いと示された. さらに, 学年ごとに男女で比較すると, 前屈制限は, 全ての学年で男子に所見率が高かった. 小学生の運動器所見は, 発育・発達状況や日常生活における影響を受けている可能性があり, 今後, 児童の生活状況や体力との関連, 検診結果の縦断的な変化を追っていく必要がある.
ISSN:1346-4159