膝前十字靭帯再建術後に年齢が身体機能に与える影響

〔要旨〕(目的)膝前十字靭帯(以下, ACL)再建術後年齢が筋力や関節可動域などの身体機能に影響するか否かは一致した見解が得られていない. ACL再建術後患者を40歳未満の者(U40群)と40歳以上の者(O40群)の2群に分け術後の身体機能を検討した. (方法)対象は初回ACL再建術を施行した76名である. 評価項目は年齢, 性別, スポーツ種目, Tegner Activity Scale(TAS), 半月板損傷の有無, 独歩獲得までの日数, 術後経過観察期間, 膝関節屈曲・伸展可動域, 膝関節伸展・屈曲筋力, 膝関節弛緩性, スポーツ復帰状況とした. 各項目についてU40群とO40群の2群...

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Published in日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 30; no. 3; pp. 732 - 739
Main Authors 三宅秀俊, 石川徹也, 杉山貴哉, 氷見量
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床スポーツ医学会 31.08.2022
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ISSN1346-4159

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Summary:〔要旨〕(目的)膝前十字靭帯(以下, ACL)再建術後年齢が筋力や関節可動域などの身体機能に影響するか否かは一致した見解が得られていない. ACL再建術後患者を40歳未満の者(U40群)と40歳以上の者(O40群)の2群に分け術後の身体機能を検討した. (方法)対象は初回ACL再建術を施行した76名である. 評価項目は年齢, 性別, スポーツ種目, Tegner Activity Scale(TAS), 半月板損傷の有無, 独歩獲得までの日数, 術後経過観察期間, 膝関節屈曲・伸展可動域, 膝関節伸展・屈曲筋力, 膝関節弛緩性, スポーツ復帰状況とした. 各項目についてU40群とO40群の2群間で比較検討した. (結果)TAS, 術前膝屈曲筋力60°/秒, 術後8か月膝伸展・屈曲筋力180°/秒と60°/秒はO40群と比較しU40群が有意に高かった. 術後6か月・8か月・最終的な術前スポーツレベルへのスポーツ復帰状況はO40群と比較しU40群が有意に復帰しているものが多かった. 重回帰分析の結果, 術後8か月膝屈曲筋力60°/秒と術後6か月でのスポーツ復帰が抽出された. (考察)O40群で術後8か月の筋力回復が遅れていた要因の一つは術後6か月でのスポーツ部分復帰率の低下であり, この時点でのスポーツ部分復帰を促すことが最終的な筋力回復とスポーツ復帰につながると考えられる.
ISSN:1346-4159