栗生楽泉園でのHCV感染状況と対策
当園の全在園者を対象とした年2回の健康調査では, 近年毎回100%に近い受診率を得ている. また以前よりC型肝炎ウイルスの抗体保有率が極めて高いことが明らかになっているため, 腫瘍マーカー(CEA, AFP, CA19-9)の測定を年次検診に取り組み, 画像診断を積極的に勧める一方, 健康管理センターを設立して全医療スタッフが在園者の健康管理に参加するなどの対策を行っている. HCV関連疾患のハイリスク群を把握し, 多様な疾患の早期発見と予防を目指した健康管理の方法を検討する. H13年春の定期検診で, 在園者全例に対してHCVの感染状況を精査した. HCV抗体価が10S/CO以上の全例にRT...
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| Published in | 日本ハンセン病学会雑誌 Vol. 71; no. 2; p. 148 |
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| Main Authors | , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本ハンセン病学会
10.07.2002
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| Online Access | Get full text |
| ISSN | 1342-3681 |
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| Summary: | 当園の全在園者を対象とした年2回の健康調査では, 近年毎回100%に近い受診率を得ている. また以前よりC型肝炎ウイルスの抗体保有率が極めて高いことが明らかになっているため, 腫瘍マーカー(CEA, AFP, CA19-9)の測定を年次検診に取り組み, 画像診断を積極的に勧める一方, 健康管理センターを設立して全医療スタッフが在園者の健康管理に参加するなどの対策を行っている. HCV関連疾患のハイリスク群を把握し, 多様な疾患の早期発見と予防を目指した健康管理の方法を検討する. H13年春の定期検診で, 在園者全例に対してHCVの感染状況を精査した. HCV抗体価が10S/CO以上の全例にRT-PCRを施行し, 腸性例ではウイルスのダイビングを行った. PCR陽性群(陽性群)の各覆検査データを, 非陽性群と比較検討した. HCVの陽性群は66名(23%)で, これらは多様なHCV関連疾患のハイリスク群と考えた. 陽性群は非陽性群よりも, 主な肝機能検査, 腫瘍マーカーおよび血小板数で異常値を示す例が有意に多かった. また陽性群では, 全般に免疫グロブリンが高値であったが, その中の血小板数低値例では, 特にIgG, IgM, IgEが高値の傾向が見られた. またこれらの一部で抗血小板抗体(PAIgG)が高値であった. 更に免疫関連物質や自己抗体についての調査を予定している. H13年には, 陽性群の中から5例の発病者を認めたが, このうち4例は今回の検診を機に発見された. 全職員の協力の基に, 老蛉化した在園者が定期検診をより受け易くなるよう工夫することにより, 多様な疾患の早期発見治療が期待できると考えられる. HCV関連疾患のハイリスク群の占める割合が極めて高い医療施設として, 今後も油断のない健康管理を続けていきたい. |
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| ISSN: | 1342-3681 |