腫瘍による下部消化管出血のショックに対して, REBOAを用いた止血戦略により救命できた1例
「要旨」症例は80歳代, 女性. 直腸癌に対して姑息的化学療法中で, 自宅で下血を発症し出血性ショックで当院に救急搬送された. 緊急輸血や大動脈内バルーン遮断(resuscitative endovascular balloon occlusion of the aorta;REBOA)を行ったが, 循環動態不安定のためREBOAインフレーション下で, 家族と協議して自然経過を見守る方針とした. その90分後に循環動態が改善し意識清明となったため, 本人と家族と再度協議して経カテーテル動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization;TAE)を行った. この間...
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Published in | 日本臨床救急医学会雑誌 Vol. 27; no. 6; pp. 777 - 781 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床救急医学会
01.12.2024
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ISSN | 1345-0581 |
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Summary: | 「要旨」症例は80歳代, 女性. 直腸癌に対して姑息的化学療法中で, 自宅で下血を発症し出血性ショックで当院に救急搬送された. 緊急輸血や大動脈内バルーン遮断(resuscitative endovascular balloon occlusion of the aorta;REBOA)を行ったが, 循環動態不安定のためREBOAインフレーション下で, 家族と協議して自然経過を見守る方針とした. その90分後に循環動態が改善し意識清明となったため, 本人と家族と再度協議して経カテーテル動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization;TAE)を行った. この間, 足背動脈を触知しながらREBOAのインフレーション量を調整し, 総インフレーション時間は挿入時からTAE終了までの計260分であった. 以後合併症なく経過し, 第4病日に転院となった. 本症例では, partial REBOAによる循環安定化により, oncologic emergencyの状況で治療意思を再確認することができ良好な転帰となった. |
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ISSN: | 1345-0581 |