投球障害肩の疼痛責任病巣の検討

〔要旨〕運動療法を行ったにも関わらず, 可動域や疼痛などの所見に改善がない選手に対して, 肩関節内注射や肩峰下滑液包注射を要した選手数を調査した. さらに注射を要していない選手と注射を要した選手の野球肩理学所見11項目 (肩関節11項目) を比較検討した. 対象は, 短期入院治療を行った選手181例とした. 方法は, 以下の2点について調査し, 肩関節11項目の特徴を比較検討した. (1) まず以下の3群に分けた. 入院後に運動療法のみで肩関節11項目が改善した選手を非注射群, 運動療法で可動域や疼痛に改善がなく, 肩関節内注射を要し改善した選手をGH注射群, さらに肩関節内注射直後に可動域や...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 28; no. 1; pp. 117 - 122
Main Authors 樋口一斗, 原正文, 川口賢太郎, 隅田涼平, 藤澤基之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床スポーツ医学会 31.01.2020
Online AccessGet full text
ISSN1346-4159

Cover

More Information
Summary:〔要旨〕運動療法を行ったにも関わらず, 可動域や疼痛などの所見に改善がない選手に対して, 肩関節内注射や肩峰下滑液包注射を要した選手数を調査した. さらに注射を要していない選手と注射を要した選手の野球肩理学所見11項目 (肩関節11項目) を比較検討した. 対象は, 短期入院治療を行った選手181例とした. 方法は, 以下の2点について調査し, 肩関節11項目の特徴を比較検討した. (1) まず以下の3群に分けた. 入院後に運動療法のみで肩関節11項目が改善した選手を非注射群, 運動療法で可動域や疼痛に改善がなく, 肩関節内注射を要し改善した選手をGH注射群, さらに肩関節内注射直後に可動域や疼痛に改善がなく, 肩峰下滑液包注射を要し改善した選手をSAB注射群とした. (2) 短期入院治療の入・退院時に肩関節11項目の異常率を調査し, 非注射群とGH注射群の異常率の比較, 非注射群とSAB注射群の異常率の比較を行った. 非注射群は105例 (58.0%) であった. GH注射群は, 62例 (34.3%) で, 肩関節11項目は, 入院時HERTの異常率が高く, 退院時はHFTの異常率が高かったが, その他の項目は非注射群と同程度になった. SAB注射群は14例 (7.7%) で, 入院時HERTの異常率が高く, 退院時はimpingementの異常率が高かったが, その他の項目は非注射群と同程度になった. 可動域や疼痛が改善しない場合は, 注射療法を考慮する必要がある.
ISSN:1346-4159