上顎骨単独の顎矯正手術を行った骨格性II級上顎前突症例
「緒言」骨格性II級症例には上顎前突症と下顎後退症があり, 外科的矯正治療を行う場合にはLe Fort I型骨切り術と両側下顎枝矢状分割術が用いられることが多い. しかし下顎骨前方移動術による下顎骨の大きな前方移動と反時計方向の回転は術後の後戻りやProgressive condylar resorptionのリスクが高いと報告されている. そこで, 上顎前突症で下顎骨の前方移動術のみでは術後の安定性が危惧される症例や上顎骨の前方位や垂直的過大がある症例に対して, 下顎頭や顎関節への負担の軽減を目的として上顎骨単独の顎矯正手術を行い, 下顎骨を反時計方向へautorotationさせることで顎...
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Published in | 日本顎変形症学会雑誌 Vol. 34; no. 4; pp. 247 - 257 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本顎変形症学会
15.12.2024
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ISSN | 0916-7048 |
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Summary: | 「緒言」骨格性II級症例には上顎前突症と下顎後退症があり, 外科的矯正治療を行う場合にはLe Fort I型骨切り術と両側下顎枝矢状分割術が用いられることが多い. しかし下顎骨前方移動術による下顎骨の大きな前方移動と反時計方向の回転は術後の後戻りやProgressive condylar resorptionのリスクが高いと報告されている. そこで, 上顎前突症で下顎骨の前方移動術のみでは術後の安定性が危惧される症例や上顎骨の前方位や垂直的過大がある症例に対して, 下顎頭や顎関節への負担の軽減を目的として上顎骨単独の顎矯正手術を行い, 下顎骨を反時計方向へautorotationさせることで顎間関係と咬合の改善を図る治療計画の立案が近年報告されている. 今回われわれは, 骨格性II級ハイアングル症例に対して, Le Fort I型骨切り術に下顎のautorotationを計画的に利用した上顎骨単独の顎矯正手術を行い, 良好な治療成果と術後安定性を認めたので報告する. |
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ISSN: | 0916-7048 |