腫瘤形成性膵炎との鑑別に苦慮した膵原発小細胞癌の1例

症例は49歳の男性で. 46歳時に膵炎の治療歴がある. 心窩部痛を主訴に当院紹介入院. 血清アミラーゼ716IU/l と高値を示し腹部CT で膵頭部に3.5cm 大の低吸収域を認めた. magnetic resonance cholangiopancreatography (MRCP) で主膵管は膵頭部で狭細化していたが途絶はなく. 腫瘤形成性膵炎と診断し治療を行った. その後. 黄疸が出現した時点における胆管・膵管像は領域性をもった狭細化を示すものの途絶はなく. 通常型膵癌は否定的であった. しかし. その後の腹部CTで膵頭部後面から傍大動脈領域にかけてリンパ節腫脹が数個出現し. この段階で...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 38; no. 9; pp. 1462 - 1468
Main Authors 石川, 誠, 牛嶋, 良, 柳沢, 和彦, 川崎, 卓也, 古謝, 進, 大河内, 信弘, 小田, 竜也, 飯嶋, 達生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.09.2005
一般社団法人日本消化器外科学会
The Japanese Society of Gastroenterological Surgery
Subjects
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.38.1462

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Summary:症例は49歳の男性で. 46歳時に膵炎の治療歴がある. 心窩部痛を主訴に当院紹介入院. 血清アミラーゼ716IU/l と高値を示し腹部CT で膵頭部に3.5cm 大の低吸収域を認めた. magnetic resonance cholangiopancreatography (MRCP) で主膵管は膵頭部で狭細化していたが途絶はなく. 腫瘤形成性膵炎と診断し治療を行った. その後. 黄疸が出現した時点における胆管・膵管像は領域性をもった狭細化を示すものの途絶はなく. 通常型膵癌は否定的であった. しかし. その後の腹部CTで膵頭部後面から傍大動脈領域にかけてリンパ節腫脹が数個出現し. この段階で初めて特殊型膵腫瘍を考慮する必要があると気付き腫瘍生検を施行. 組織学的に小細胞癌を確認した. 胸部CTで肺病変は認めず. 膵原発の小細胞癌と診断した. 小細胞癌を含めた特殊型膵腫瘍は本症例のように膵管や胆管に不整や途絶を示さないことがあり. 同様の所見を示す腫瘤形成性膵炎との鑑別を要する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.38.1462