内膀胱上窩ヘルニアの1例

症例は腹部手術既往のない66歳の男性. 下腹部痛, 嘔吐を主訴に当院を受診した. 腹部CT検査にて拡張した小腸による膀胱の圧排像と小腸のcaliber changeを認めたため内ヘルニアによるイレウスを疑い, 緊急手術を施行した. 開腹所見にて回腸の内膀胱上窩ヘルニア嵌頓による絞扼性イレウスと診断された. 手術は回腸部分切除術, ヘルニア嚢の翻転切除およびヘルニア門の縫合閉鎖を行い, 術中の全身状態の悪化のため回腸瘻を造設した. 術後経過は良好であり, 術後第16病日に回腸瘻を閉鎖し, 第24病日に退院となった. 内膀胱上窩ヘルニアは極めてまれであり, 調べえた範囲内で自験例が本邦13例目であ...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 35; no. 9; pp. 1536 - 1540
Main Authors 金住, 直人, 加藤, 公一, 江口, 武彦, 木村, 次郎, 小林, 大介, 石井, 正大, 本山, 彩, 鈴木, 祐一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.09.2002
一般社団法人日本消化器外科学会
The Japanese Society of Gastroenterological Surgery
Subjects
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.35.1536

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Summary:症例は腹部手術既往のない66歳の男性. 下腹部痛, 嘔吐を主訴に当院を受診した. 腹部CT検査にて拡張した小腸による膀胱の圧排像と小腸のcaliber changeを認めたため内ヘルニアによるイレウスを疑い, 緊急手術を施行した. 開腹所見にて回腸の内膀胱上窩ヘルニア嵌頓による絞扼性イレウスと診断された. 手術は回腸部分切除術, ヘルニア嚢の翻転切除およびヘルニア門の縫合閉鎖を行い, 術中の全身状態の悪化のため回腸瘻を造設した. 術後経過は良好であり, 術後第16病日に回腸瘻を閉鎖し, 第24病日に退院となった. 内膀胱上窩ヘルニアは極めてまれであり, 調べえた範囲内で自験例が本邦13例目である. しかし, いまだ術前正診例の報告はない. 今回われわれは, 術前CTをretrospectiveに検討した結果, 今後の本症の術前診断に役立つ所見を呈していたので若干の文献的考察も加えて報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.35.1536