大学男子長距離選手における疲労骨折の予防・早期発見に対する骨代謝マーカーの有用性

「要旨」大学男子長距離選手を対象に骨代謝マーカーを経時的に前向きに調査し, 疲労骨折予防・早期発見に対する骨代謝マーカーの有用性を検討することを目的とした. 対象は2011年から2014年に大学陸上競技部に所属した男子長距離選手29名(18~22歳)とし, 定期的に骨代謝マーカーの測定を行った. 骨代謝マーカーは, 骨形成マーカーとしてBAP, 骨吸収マーカーとしてTRACP-5b, 尿と血清のNTXを測定した. 骨代謝マーカーの測定を3回以上行っている選手を対象とした. 選手ごとに疲労骨折のない時の測定値から平均値を算出し, 出てきた値を通常値として分析に用いた. 疲労骨折の既往歴の有無によ...

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Published in日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 26; no. 3; pp. 382 - 389
Main Authors 藤田真平, 桜庭景植, 窪田敦之, 若松健太, 洪定男, 鈴木良雄, 長門俊介, 仲村明, 山澤文裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床スポーツ医学会 30.08.2018
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ISSN1346-4159

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Summary:「要旨」大学男子長距離選手を対象に骨代謝マーカーを経時的に前向きに調査し, 疲労骨折予防・早期発見に対する骨代謝マーカーの有用性を検討することを目的とした. 対象は2011年から2014年に大学陸上競技部に所属した男子長距離選手29名(18~22歳)とし, 定期的に骨代謝マーカーの測定を行った. 骨代謝マーカーは, 骨形成マーカーとしてBAP, 骨吸収マーカーとしてTRACP-5b, 尿と血清のNTXを測定した. 骨代謝マーカーの測定を3回以上行っている選手を対象とした. 選手ごとに疲労骨折のない時の測定値から平均値を算出し, 出てきた値を通常値として分析に用いた. 疲労骨折の既往歴の有無により群わけを行い, 比較した. 疲労骨折既往を有する選手(疲労骨折既往群)は5名で, 疲労骨折既往のない選手(対照群)は21名であった. 測定期間中に疲労骨折が発症した3名は分析から除外した. TRACP-5bにおいて疲労骨折既往群(620.5±88.9mU/dL)は対照群(501.7±94.8mU/dL)と比較して高値を示した(p<0.05). 疲労骨折を発症した3名は, 疲労骨折のない時と比較し, 疲労骨折発症時にNTXの値が高くなった. 一方でTRACP-5bは, 疲労骨折の発症に関係なく一般成人男性の基準値よりも高い値を示していた. 男子長距離選手において, 疲労骨折の既往歴を有する選手はTRACP-5bが高いことが示された. またNTXの高値は, 疲労骨折を発症している可能性が示された.
ISSN:1346-4159