胆管癌を合併した膵管内乳頭粘液性腺癌の1切除例
膵管内乳頭粘液性腺癌 (以下, IPMCと略記) と胆管癌の同時重複例を切除した.患者は76歳の男性で, 皮膚黄染, 右季肋部痛を主訴に近医を受診し, 肝内胆管拡張, 膵頭部の嚢胞性病変を認め当科入院となった. CT, MRCPでは膵頭部に3cm大の多房性嚢胞性腫瘍が存在し, 膵病巣と近接する下部胆管に狭窄を認めた. ERCPで主乳頭の開大と粘液の排出および膵頭部に主膵管と交通する多房性嚢胞性病変と主膵管内に粘液を認め, 尾側膵管は拡張していた. 胆管狭窄部の生検標本の病理診断は腺癌であった. EUSでは嚢胞内に壁在結節を認めなかった. 以上より, IPMNを合併した胆管癌の診断で幽門輪温存膵...
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| Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 39; no. 5; pp. 596 - 601 |
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| Main Authors | , , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.05.2006
一般社団法人日本消化器外科学会 The Japanese Society of Gastroenterological Surgery |
| Subjects | |
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| ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
| DOI | 10.5833/jjgs.39.596 |
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| Summary: | 膵管内乳頭粘液性腺癌 (以下, IPMCと略記) と胆管癌の同時重複例を切除した.患者は76歳の男性で, 皮膚黄染, 右季肋部痛を主訴に近医を受診し, 肝内胆管拡張, 膵頭部の嚢胞性病変を認め当科入院となった. CT, MRCPでは膵頭部に3cm大の多房性嚢胞性腫瘍が存在し, 膵病巣と近接する下部胆管に狭窄を認めた. ERCPで主乳頭の開大と粘液の排出および膵頭部に主膵管と交通する多房性嚢胞性病変と主膵管内に粘液を認め, 尾側膵管は拡張していた. 胆管狭窄部の生検標本の病理診断は腺癌であった. EUSでは嚢胞内に壁在結節を認めなかった. 以上より, IPMNを合併した胆管癌の診断で幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した. 組織学的には下部胆管は深達度ssの胆管癌嚢胞性病変は非浸潤型のIPMCで同時性重複癌と診断した. また, 16b1リンパ節の転移を認めfstage IVaであった. 胆管癌とIPMCの重複癌は1例の報告しかなく, まれであるので報告する. |
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| ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
| DOI: | 10.5833/jjgs.39.596 |