オクトレオチドが有効であった食道癌術後乳糜胸の1例

症例は42歳の男性で, 胸部中部進行食道癌に対し術前化学放射線療法を施行後, 右開胸開腹食道亜全摘, 3領域リンパ節郭清 (胸管温存) を行った. 第3病日より胸腔ドレーンの排液が急増し, 翌日経腸栄養を開始したところ排液が白濁したため乳糜胸と診断した. 同日総排液量は1,800mlに達し循環動態に影響が出たため手術を施行した. 下縦隔で胸管をクリッピングしたが上縦隔からの乳糜漏出は停止せず, 上縦隔左側を展開し胸管の乳糜漏出部を確認し, その足側をクリッピングして漏出を停止できた. しかし, 翌日にはドレーンから再度多量の乳糜流出が認められたため, オクトレオチド50μg×3回/日の間歇皮下...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 39; no. 2; pp. 164 - 169
Main Authors 松田, 大助, 李, 正植, 鈴木, 芳明, 岡田, 了祐, 青木, 利明, 加藤, 文昭, 寿美, 哲生, 青木, 達哉, 安田, 祥浩, 高木, 眞人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.02.2006
一般社団法人日本消化器外科学会
The Japanese Society of Gastroenterological Surgery
Subjects
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.39.164

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Summary:症例は42歳の男性で, 胸部中部進行食道癌に対し術前化学放射線療法を施行後, 右開胸開腹食道亜全摘, 3領域リンパ節郭清 (胸管温存) を行った. 第3病日より胸腔ドレーンの排液が急増し, 翌日経腸栄養を開始したところ排液が白濁したため乳糜胸と診断した. 同日総排液量は1,800mlに達し循環動態に影響が出たため手術を施行した. 下縦隔で胸管をクリッピングしたが上縦隔からの乳糜漏出は停止せず, 上縦隔左側を展開し胸管の乳糜漏出部を確認し, その足側をクリッピングして漏出を停止できた. しかし, 翌日にはドレーンから再度多量の乳糜流出が認められたため, オクトレオチド50μg×3回/日の間歇皮下投与を試みた. 2日目から排液は著明に減少し, 計8日間漸減投与し中止としたが乳糜漏の停止が確認され退院できた. 食道癌術後の乳糜胸には難渋することがあるが, オクトレオチド間歇皮下投与は, 副作用も認められず試みる価値があるものと思われた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.39.164