結核性胸膜炎の治療中に対側胸水を呈した1例
「要旨」: 症例は55歳女性, 発熱・右胸痛にて右側胸水貯留を発見され, 胸水は抗酸菌塗抹陰性であったが, リンパ球優位の滲出性でADA 92.7IU/Lと高値を示し, 血液QFT陽性であることから結核性胸膜炎と診断された. 胸腔ドレナージ後, 抗結核薬4剤 (INH, RFP, EB, PZA) による治療を開始され, 後に胸水結核菌培養陽性 (全感受性菌) と判明した. しかし治療開始18日後に再度発熱し, 今度は左胸痛が出現し, 左側胸水貯留が認められたため精査入院となった. 右側と同様リンパ球優位の滲出性胸水で, 局所麻酔下胸腔鏡を施行したところ壁側胸膜に多発性の白色小結節病変を認め,...
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Published in | 結核 Vol. 86; no. 7; pp. 723 - 727 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本結核病学会
15.07.2011
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ISSN | 0022-9776 |
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Summary: | 「要旨」: 症例は55歳女性, 発熱・右胸痛にて右側胸水貯留を発見され, 胸水は抗酸菌塗抹陰性であったが, リンパ球優位の滲出性でADA 92.7IU/Lと高値を示し, 血液QFT陽性であることから結核性胸膜炎と診断された. 胸腔ドレナージ後, 抗結核薬4剤 (INH, RFP, EB, PZA) による治療を開始され, 後に胸水結核菌培養陽性 (全感受性菌) と判明した. しかし治療開始18日後に再度発熱し, 今度は左胸痛が出現し, 左側胸水貯留が認められたため精査入院となった. 右側と同様リンパ球優位の滲出性胸水で, 局所麻酔下胸腔鏡を施行したところ壁側胸膜に多発性の白色小結節病変を認め, 同部の生検組織培養より結核菌が検出された. 抗結核薬開始後の初期悪化による対側胸膜炎と判断し, 治療継続とした. 左胸腔ドレナージ後は胸水貯留を認めず, 経過良好である. |
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ISSN: | 0022-9776 |