リウマチ性膝関節症に対する人工膝関節置換術 - 生物学的製剤使用の有無による臨床成績のちがい
「はじめに」本邦では関節リウマチ(以下RA)に対し2003年7月から生物学的製剤の使用が開始された. 現在RAに対し数種類の生物学的製剤が使用可能となり, 生物学的製剤の登場以降RAの治療体系が変化してきている. RAにおける膝関節破壊に対する治療として人工膝関節置換術(以下TKA)は確立された方法となっているが, 生物学的製剤使用の有無がTKA術後の臨床成績に影響を与えるか否かに関しては不明な点が多い. また, 生物学的製剤が整形外科手術にもたらす重大な問題点として易感染性, 創治癒遷延があげられる. 生物学的製剤使用はインプラント手術感染頻度を相対危険率で5倍まで高めるというGilesらの...
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Published in | 日本関節病学会誌 Vol. 28; no. 4; pp. 539 - 543 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本関節病学会
2009
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ISSN | 1883-2873 |
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Summary: | 「はじめに」本邦では関節リウマチ(以下RA)に対し2003年7月から生物学的製剤の使用が開始された. 現在RAに対し数種類の生物学的製剤が使用可能となり, 生物学的製剤の登場以降RAの治療体系が変化してきている. RAにおける膝関節破壊に対する治療として人工膝関節置換術(以下TKA)は確立された方法となっているが, 生物学的製剤使用の有無がTKA術後の臨床成績に影響を与えるか否かに関しては不明な点が多い. また, 生物学的製剤が整形外科手術にもたらす重大な問題点として易感染性, 創治癒遷延があげられる. 生物学的製剤使用はインプラント手術感染頻度を相対危険率で5倍まで高めるというGilesらの報告や, 小手術では感染頻度は非使用例と変わらないとの報告などがあり, 生物学的製剤使用と術後合併症に関して, 統一された見解は得られていない. 加えて, 整形外科手術の中でも感染症に弱いとされるインプラント手術の一つであるTKAに限定した生物学的製剤使用の安全性や至適手術時期についての明確なプロトコールやエビデンスに関する報告は本邦ではまだない. |
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ISSN: | 1883-2873 |