微小血管吻合を付加した門脈圧亢進症合併食道癌手術の経験

食道癌患者のうち約4~6%に肝硬変の合併が認められるが, それらの患者における術後合併症の発生率は高く, 手術成績が不良であることが知られている. 今回, 我々は門脈圧亢進症合併食道癌症例に対し, 胃管のうっ血を改善するために微小血管吻合を付加し, 縫合不全なく, 経過良好であった症例を経験したので報告する. 症例1は肝硬変による門脈圧亢進症を合併した3型食道癌であり, 食道亜全摘後に左胃静脈と前頸静脈の吻合を付加した. 症例2は肝炎により門脈圧亢進症を合併した2型食道癌であり, 左胃静脈と内胸静脈の吻合を付加した. 両症例とも血管吻合後, 肉眼的に胃管のうっ血が解消され, 術後, 縫合不全,...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 39; no. 2; pp. 158 - 163
Main Authors 北城, 秀司, 奥芝, 俊一, 小松, 嘉人, 山本, 有平, 菊地, 健司, 川原田, 陽, 七戸, 俊明, 森川, 利昭, 近藤, 哲, 加藤, 紘之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.02.2006
一般社団法人日本消化器外科学会
The Japanese Society of Gastroenterological Surgery
Subjects
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.39.158

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Summary:食道癌患者のうち約4~6%に肝硬変の合併が認められるが, それらの患者における術後合併症の発生率は高く, 手術成績が不良であることが知られている. 今回, 我々は門脈圧亢進症合併食道癌症例に対し, 胃管のうっ血を改善するために微小血管吻合を付加し, 縫合不全なく, 経過良好であった症例を経験したので報告する. 症例1は肝硬変による門脈圧亢進症を合併した3型食道癌であり, 食道亜全摘後に左胃静脈と前頸静脈の吻合を付加した. 症例2は肝炎により門脈圧亢進症を合併した2型食道癌であり, 左胃静脈と内胸静脈の吻合を付加した. 両症例とも血管吻合後, 肉眼的に胃管のうっ血が解消され, 術後, 縫合不全, 出血などの合併症を認めなかった.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.39.158