臀筋内脱臼股におけるカップ低位設置症例の検討

「はじめに」人工股関節置換術 (以下THA) を行う場合, 骨盤側の低形成や骨量が乏しい症例ではカップの設置に難渋することがある. 骨盤側の骨量が乏しい症例の代表的なものとして, 殿筋内脱臼股が挙げられる. 当科における, 殿筋内脱臼股に対する治療方針は, カップを原臼設置し, 必要があれば大腿骨の短縮骨切りを併用することとしている. しかし, 殿筋内脱臼股の場合, 比較的骨量がある原臼であってもセメントレスカップをホストボーンに十分コンタクトさせることが困難な症例もある. 術中に臼蓋カップと骨盤側ホストボーンとのコンタクトが最も良いと思われる場所にカップを設置することで, 結果として低位設置...

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Published in日本関節病学会誌 Vol. 29; no. 4; pp. 473 - 478
Main Authors 園畑素樹, 河野俊介, 北島将, 本家秀文, 馬渡正明, 佛淵孝夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本関節病学会 2010
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ISSN1883-2873

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Summary:「はじめに」人工股関節置換術 (以下THA) を行う場合, 骨盤側の低形成や骨量が乏しい症例ではカップの設置に難渋することがある. 骨盤側の骨量が乏しい症例の代表的なものとして, 殿筋内脱臼股が挙げられる. 当科における, 殿筋内脱臼股に対する治療方針は, カップを原臼設置し, 必要があれば大腿骨の短縮骨切りを併用することとしている. しかし, 殿筋内脱臼股の場合, 比較的骨量がある原臼であってもセメントレスカップをホストボーンに十分コンタクトさせることが困難な症例もある. 術中に臼蓋カップと骨盤側ホストボーンとのコンタクトが最も良いと思われる場所にカップを設置することで, 結果として低位設置となっている症例も存在する. Paavilainenらは, 殿筋内脱臼股症例のなかで, 特に原臼部の骨量が不良な症例に対してTHAを行う際, 転子下骨切り術を併用してカップを低位設置にすることを, 選択肢のひとつとして報告しているが, カップの低位設置そのものを検討した報告は無い.
ISSN:1883-2873