採血部位消毒後の指先接触による汚染の可能性
「要旨」採血時, 医療者は血管を確認するため消毒した部位を指先で触れる場合がある. 医療者の指先から消毒後の皮膚へ細菌が伝播する可能性を明らかにするため以下の研究を行った. 対象は各実験, 成人25名(50肘)である. 研究協力者の肘窩を70%イソプロパノールで消毒し10秒後, 30秒後に, 指先を消毒群と非消毒群にわけ接触させた. その後SCD寒天培地を用いて皮膚の細菌を採取し, 形成されたコロニー数を数えた. 結果として指先非消毒群の肘窩消毒10秒後では34%で1個以上のコロニーが検出され, 平均コロニー数は1.62であった. 30秒後では38%で1個以上のコロニーが検出され平均コロニー数...
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          | Published in | 兵庫県立大学看護学部・地域ケア開発研究所紀要 Vol. 16; pp. 13 - 21 | 
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| Main Authors | , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            兵庫県立大学看護学部・地域ケア開発研究所
    
        01.03.2009
     | 
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| ISSN | 1881-6592 | 
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| Summary: | 「要旨」採血時, 医療者は血管を確認するため消毒した部位を指先で触れる場合がある. 医療者の指先から消毒後の皮膚へ細菌が伝播する可能性を明らかにするため以下の研究を行った. 対象は各実験, 成人25名(50肘)である. 研究協力者の肘窩を70%イソプロパノールで消毒し10秒後, 30秒後に, 指先を消毒群と非消毒群にわけ接触させた. その後SCD寒天培地を用いて皮膚の細菌を採取し, 形成されたコロニー数を数えた. 結果として指先非消毒群の肘窩消毒10秒後では34%で1個以上のコロニーが検出され, 平均コロニー数は1.62であった. 30秒後では38%で1個以上のコロニーが検出され平均コロニー数は1.08であり, 10秒後と30秒後ではコロニー数, 検出例数ともに有意な差は認められなかった. なお両群共に最大21個のコロニーを認めた. 一方, 肘窩消毒10秒後の指先消毒群では, 8%で1個のコロニーを認めたのみで, 平均コロニー数は0.08であり, 指先非消毒群に対し, 有意に少なかった(p<0.05). 50例中, 指先非消毒群において指先が接触した部位にコロニーを認めた割合は, 肘窩消毒10秒後で22%, 30秒後で34%であり有意な差は認められなかった. また指先消毒群は10秒後で2%であり, 指先非消毒群は消毒群に比べ有意に多かった(p<0.05). 一方指先が触れていない部位にコロニーが認められた割合は, 肘窩消毒10秒後において非消毒群は22%, 指先消毒群では6%であり有意差がみられ(p<0.05), 汚染された指先が触れるとその周囲も汚染されることが明らかとなった. 以上の結果より, 消毒後の時間に関係なく消毒していない指先で消毒した皮膚に触れると, 指先に付着していた細菌が消毒後の皮膚へ伝播する危険性がある. 最大21個のコロニーが検出された例もあり, 消毒後は穿刺予定部位には触れてはいけない. | 
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| ISSN: | 1881-6592 |