学校教育を活かした子どものレジリエンスの育成 学校危機の予防と回復を支えるアプローチ

いじめや災害など様々な学校危機が起こるようになってきている中で,学校危機の予防から回復までのあらゆる段階においてレジリエンスは支援のキーワードとなっている。本研究では,(1)学校危機やレジリエンスの概念を説明した後,(2)日本の子どもを対象としたレジリエンス研究についての知見をまとめ,その上で縦断的な研究の必要性を述べた。その後,(3)学校危機を危機発生の前後の「予防段階」と「回復段階」に分け,さらにレジリエンス育成を目的としたプログラムと,学校教育活動で行われている取り組みをそれぞれ俯瞰し,日本の学校現場でのレジリエンスの育成に関する諸課題の整理を行った。そしてその上で,(4)海外の取り組み...

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Published in教育心理学年報 Vol. 60; pp. 155 - 174
Main Author 小林, 朋子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本教育心理学会 30.03.2021
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ISSN0452-9650
2186-3091
DOI10.5926/arepj.60.155

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Summary:いじめや災害など様々な学校危機が起こるようになってきている中で,学校危機の予防から回復までのあらゆる段階においてレジリエンスは支援のキーワードとなっている。本研究では,(1)学校危機やレジリエンスの概念を説明した後,(2)日本の子どもを対象としたレジリエンス研究についての知見をまとめ,その上で縦断的な研究の必要性を述べた。その後,(3)学校危機を危機発生の前後の「予防段階」と「回復段階」に分け,さらにレジリエンス育成を目的としたプログラムと,学校教育活動で行われている取り組みをそれぞれ俯瞰し,日本の学校現場でのレジリエンスの育成に関する諸課題の整理を行った。そしてその上で,(4)海外の取り組みもふまえ,カリキュラムや学級経営,教師の関わりなどを考察し,(5)学校でのレジリエンス育成を行っていくには,学校が行っている教育活動を活かした,プログラムと学校教育活動の「相互作用」が重要であり,その相互作用によるアプローチを提案した。
ISSN:0452-9650
2186-3091
DOI:10.5926/arepj.60.155