日常的な身体活動の誘発-メッセージバナーを用いた階段使用促進

適度な運動の継続は, 中枢, 末梢の適応による最大酸素摂取量の増大, 最大下強度における分時換気量, 心筋酸素消費量, 心拍数及び血圧の減少等をもたらし心臓血管系と呼吸器系の機能を改善させる. また, 安静時の収縮期及び拡張期血圧の減少, HDLコレステロールの増加及びトリグリセロールの減少, 全体脂肪及び腹部内蔵脂肪を減少させること等が明らかとなっており, 日常生活における高い活動度や中~高レベルの心肺機能維持は, 他の要因から独立して慢性疾患リスクを低下させることが裏付けられている(1). 運動の習慣化は, 生活習慣病の発症及び病態悪化の予防に効果的であるが, 糖尿病患者においては糖尿病治...

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Published in日本衛生学雑誌 Vol. 61; no. 1; pp. 38 - 43
Main Authors 野村卓生, 榎勇人, 岡崎里南, 佐藤厚
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本衛生学会 01.01.2006
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ISSN0021-5082

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Summary:適度な運動の継続は, 中枢, 末梢の適応による最大酸素摂取量の増大, 最大下強度における分時換気量, 心筋酸素消費量, 心拍数及び血圧の減少等をもたらし心臓血管系と呼吸器系の機能を改善させる. また, 安静時の収縮期及び拡張期血圧の減少, HDLコレステロールの増加及びトリグリセロールの減少, 全体脂肪及び腹部内蔵脂肪を減少させること等が明らかとなっており, 日常生活における高い活動度や中~高レベルの心肺機能維持は, 他の要因から独立して慢性疾患リスクを低下させることが裏付けられている(1). 運動の習慣化は, 生活習慣病の発症及び病態悪化の予防に効果的であるが, 糖尿病患者においては糖尿病治療(生活習慣の改善)教育を体系的に受けた患者においても生活習慣の改善を中断する患者が多いことが報告されている(2-5). また, 生活習慣の大きい変更を伴う治療法において, その実行度はより低い(6). 米国においては監視下の運動プログラム参加者の約50%は半年以内に中断しており, 運動の継続は困難である(7).
ISSN:0021-5082