食品関連施設で得られた昆虫から分離された真菌について

『緒言』 カビ(真菌)は製品の腐敗・変敗, 劣化などを引き起こす原因の1つである(高鳥, 2002a, b). あらゆる製品の中でも特に食品は微生物の繁殖に適していることから, 他の工業製品に比べ, 真菌の危害を被りやすい. またこれらは人間が直接, 口にするものであることから, 健康上の被害にもつながりやすい. 一般に, 真菌を起因とする食中毒は, 真菌が産生する有毒二次代謝産物(カビ毒, Mycotoxin)が原因とされている(高鳥, 2006, 2007). このMycotoxinは熱に強く, 加工や調理によって除去することができない(高鳥, 2002a, b). そのため, 食品工場や...

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Published inMedical Entomology and Zoology Vol. 61; no. 1; pp. 9 - 15
Main Authors 角野智紀, 加藤友梨, 川口はるか, 松見雄介, 松井秀樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本衛生動物学会 15.03.2010
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ISSN0424-7086

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Summary:『緒言』 カビ(真菌)は製品の腐敗・変敗, 劣化などを引き起こす原因の1つである(高鳥, 2002a, b). あらゆる製品の中でも特に食品は微生物の繁殖に適していることから, 他の工業製品に比べ, 真菌の危害を被りやすい. またこれらは人間が直接, 口にするものであることから, 健康上の被害にもつながりやすい. 一般に, 真菌を起因とする食中毒は, 真菌が産生する有毒二次代謝産物(カビ毒, Mycotoxin)が原因とされている(高鳥, 2006, 2007). このMycotoxinは熱に強く, 加工や調理によって除去することができない(高鳥, 2002a, b). そのため, 食品工場やその関連企業などにおいてはサニテーション(衛生管理)業務を重要視し, その内容はとりわけ製品の安全性確保, もしくは向上のための微生物管理に集約されている(渡辺, 1984). 一方, 近年, 食品に代表されるあらゆる製品への異物混入クレームの要因として昆虫は常に上位を占めており(伊東ら, 2001;藤田, 2002), さまざまな製造環境において, 防虫管理は重要な課題となっている.
ISSN:0424-7086