千葉県太平洋岸における離岸堤設置が外洋性海浜の植生に与える影響

離岸堤の設置が海浜植生の保護,回復に有効な事例は知られているが,それらの対象地は内湾性海浜が多く,より強い波浪攪乱を前提とする外洋性海浜の植生への離岸堤の影響は十分に検討されていない。千葉県太平洋岸の海浜を対象に,離岸堤の有無により異なる波浪環境を設定し,離岸堤が外洋性海浜の植生の種組成および構造に与える影響を,植生調査,土壌分析などから検討した。離岸堤海浜上では内陸性種や安定帯,半安定帯を好む海浜性種の被度が高く,一年草帯構成種の出現頻度が低かった。これらより,離岸堤を設置した外洋性海浜では,波浪軽減や地形変化に伴って安定帯の植生に近づき,内陸性種の侵入や一年草帯の縮小が生じると考察された。...

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Published in日本緑化工学会誌 Vol. 51; no. 1; pp. 55 - 60
Main Authors 成川 央庸, 甲野 耀登, 山田 大我, 大黒 俊哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本緑化工学会 31.08.2025
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ISSN0916-7439
0916-7439
DOI10.7211/jjsrt.51.55

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Summary:離岸堤の設置が海浜植生の保護,回復に有効な事例は知られているが,それらの対象地は内湾性海浜が多く,より強い波浪攪乱を前提とする外洋性海浜の植生への離岸堤の影響は十分に検討されていない。千葉県太平洋岸の海浜を対象に,離岸堤の有無により異なる波浪環境を設定し,離岸堤が外洋性海浜の植生の種組成および構造に与える影響を,植生調査,土壌分析などから検討した。離岸堤海浜上では内陸性種や安定帯,半安定帯を好む海浜性種の被度が高く,一年草帯構成種の出現頻度が低かった。これらより,離岸堤を設置した外洋性海浜では,波浪軽減や地形変化に伴って安定帯の植生に近づき,内陸性種の侵入や一年草帯の縮小が生じると考察された。
ISSN:0916-7439
0916-7439
DOI:10.7211/jjsrt.51.55