パーソナリティ研究の動向と今後の展望 パーソナリティ特性,アイデンティティを中心とした変化・発達研究の展開に向けて
本稿の目的は,パーソナリティ特性,アイデンティティ・プロセスに関する縦断研究を中心に概観し,パーソナリティ研究の発展可能性について論じることである。そのために,まず,McAdams & Zapata-Gietl (2014) に基づき,自己,アイデンティティ,パーソナリティ特性の概念的弁別性を確認した。次に,パーソナリティ特性の変化に関する研究を概観し,パーソナリティ特性が社会投資の原則や自己概念の明瞭性,意志によって変化すること,さらに,適応感と関わることを確認した。加えて,アイデンティティ・プロセスと健康及び日本の独自性を検討した研究を概観し,精神的健康と縦断的に関連すること,欧米...
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Published in | 教育心理学年報 Vol. 59; pp. 57 - 73 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本教育心理学会
30.03.2020
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Subjects | |
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ISSN | 0452-9650 2186-3091 |
DOI | 10.5926/arepj.59.57 |
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Summary: | 本稿の目的は,パーソナリティ特性,アイデンティティ・プロセスに関する縦断研究を中心に概観し,パーソナリティ研究の発展可能性について論じることである。そのために,まず,McAdams & Zapata-Gietl (2014) に基づき,自己,アイデンティティ,パーソナリティ特性の概念的弁別性を確認した。次に,パーソナリティ特性の変化に関する研究を概観し,パーソナリティ特性が社会投資の原則や自己概念の明瞭性,意志によって変化すること,さらに,適応感と関わることを確認した。加えて,アイデンティティ・プロセスと健康及び日本の独自性を検討した研究を概観し,精神的健康と縦断的に関連すること,欧米とは異なる日本独自のアイデンティティ・プロセスの特徴が見出されていることを確認した。そして,アイデンティティ・プロセスの相互関連・発達に関する研究を概観し,パーソナリティ特性とアイデンティティは相互に関連すること,その関連は発達段階によって異なることを確認し,それらを踏まえ,青年期のパーソナリティ特性の変化を説明する原則として個人投資の原則を提唱した。最後に,パーソナリティ研究の発展に向けての4つの方向性を述べた。 |
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ISSN: | 0452-9650 2186-3091 |
DOI: | 10.5926/arepj.59.57 |