NFC版救急タグの救急隊による情報収集時間の短縮効果に関する研究(非ランダム化試験)

背景:救急隊が搬送先医療機関に受入可否の照会をかける際の情報収集の時間短縮効果を期待し,われわれは,既往歴,内服薬,アレルギー歴等の情報をNFCチップに登録し,携帯端末で瞬時に閲覧できるNFC版救急タグを開発した。目的:NFC版救急タグに救急隊の現場活動時間を短縮する効果があるかを非ランダム化比較試験で明らかにすること。方法:救急救命士養成課程の学生を対象に,心疾患,脳卒中,小児アレルギーの3つのシナリオ(救急タグ群とあり群の6パターン)の状況設定シミュレーションを行った。傷病者接触から受け入れ要請までの時間(秒)を測定し,NFC版救急タグ群とあり群の平均時間の差をt検定を用いて評価した。結果...

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Published in日本臨床救急医学会雑誌 Vol. 28; no. 4; pp. 611 - 619
Main Authors 山中 健太, 織田 順, 横野 良典, 宮﨑 絹子, 河内 孝仁, 中尾 俊一郎, 木村 圭吾, 前部 晴奈, 酒井 智彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床救急医学会 31.08.2025
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ISSN1345-0581
2187-9001
DOI10.11240/jsem.28.611

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Summary:背景:救急隊が搬送先医療機関に受入可否の照会をかける際の情報収集の時間短縮効果を期待し,われわれは,既往歴,内服薬,アレルギー歴等の情報をNFCチップに登録し,携帯端末で瞬時に閲覧できるNFC版救急タグを開発した。目的:NFC版救急タグに救急隊の現場活動時間を短縮する効果があるかを非ランダム化比較試験で明らかにすること。方法:救急救命士養成課程の学生を対象に,心疾患,脳卒中,小児アレルギーの3つのシナリオ(救急タグ群とあり群の6パターン)の状況設定シミュレーションを行った。傷病者接触から受け入れ要請までの時間(秒)を測定し,NFC版救急タグ群とあり群の平均時間の差をt検定を用いて評価した。結果:学生54名に対して合計120事案のシミュレーションを行った。受け入れ要請までの平均時間はNFC版救急タグ群240.1±74.5秒,あり群199.7±66.7秒(p=0.002)であった。結論:傷病者がNFC版救急タグを所持している場合は,救急隊の現場活動時間が短縮すると考えられる。
ISSN:1345-0581
2187-9001
DOI:10.11240/jsem.28.611