湿原再生地における成立植生に係る要因―未利用農地地盤切り下げ事業地の事例

管理放棄された農地の再湿原化は,世界的に減少している湿地面積の回復と,それに伴う生物多様性保全や生態系サービス向上の観点から有益である。地盤切り下げ後の成立植生に関連する環境要因を解明するため,釧路湿原幌呂地区自然再生事業地で植生と水文化学環境の関係性を調査した。その結果,植生には相対地下水位の4~9月における最大値が最も強く影響していること,最大値の空間的な変異は,増水時に氾濫する明渠排水路からの距離と,地表面標高によって説明されることが明らかとなった。周囲に存在する河川や排水路の増水時の動態を把握し,その氾濫を適切に利用することで効果的な湿原再生が可能になると期待される。...

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Published in日本緑化工学会誌 Vol. 51; no. 1; pp. 91 - 96
Main Authors 福澤 加里部, 川嶋 啓太, 田崎 冬記, 中谷 智喜, 森本 淳子, 石山 信雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本緑化工学会 31.08.2025
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ISSN0916-7439
0916-7439
DOI10.7211/jjsrt.51.91

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Summary:管理放棄された農地の再湿原化は,世界的に減少している湿地面積の回復と,それに伴う生物多様性保全や生態系サービス向上の観点から有益である。地盤切り下げ後の成立植生に関連する環境要因を解明するため,釧路湿原幌呂地区自然再生事業地で植生と水文化学環境の関係性を調査した。その結果,植生には相対地下水位の4~9月における最大値が最も強く影響していること,最大値の空間的な変異は,増水時に氾濫する明渠排水路からの距離と,地表面標高によって説明されることが明らかとなった。周囲に存在する河川や排水路の増水時の動態を把握し,その氾濫を適切に利用することで効果的な湿原再生が可能になると期待される。
ISSN:0916-7439
0916-7439
DOI:10.7211/jjsrt.51.91