プロテオミクス

「はじめに」ヒトゲノム計画がいよいよ最終段階に入った1995年に, シドニー大学のHumphery-Smithらのグループとマッコリー大学のKeith Williamsらのグループの共同研究1)の中で誕生し, その後のペプチドミクスやグライコミクスといったさまざまな-omics研究の先駆けとなったプロテオミクスは, 実はその原点が二次元電気泳動にあったということは意外に理解されていない. 1975年にO'Farrell2)よって発表された二次元電気泳動は, 大腸菌の粗抽出液中の数千種のタンパク質を, 驚くべき高解像度で分離して見せたことから, それまで様々な手法を組み合わせて苦労をし...

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Published in生物物理化学 Vol. 50; no. 2; pp. 33 - 36
Main Author 戸田年総
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本電気泳動学会 15.06.2006
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ISSN0031-9082

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Summary:「はじめに」ヒトゲノム計画がいよいよ最終段階に入った1995年に, シドニー大学のHumphery-Smithらのグループとマッコリー大学のKeith Williamsらのグループの共同研究1)の中で誕生し, その後のペプチドミクスやグライコミクスといったさまざまな-omics研究の先駆けとなったプロテオミクスは, 実はその原点が二次元電気泳動にあったということは意外に理解されていない. 1975年にO'Farrell2)よって発表された二次元電気泳動は, 大腸菌の粗抽出液中の数千種のタンパク質を, 驚くべき高解像度で分離して見せたことから, それまで様々な手法を組み合わせて苦労をしてタンパク質を分離精製し分析していた生化学者の心を掴み, 基礎生物学の分野にじわじわ浸透して行った. しかし, 二次元電気泳動は分解能こそ高かったものの, まだ多くの課題を抱えており, これが普及を妨げた. 第一の課題は操作の煩雑性故の再現性の低さであり, 第二の課題は, せっかく数千のスポットに分離できるにもかかわらず, 定量的な解析を行うためのデンシトメータがなかったということであり, 第三の課題は, 変化するスポットを見つけてもタンパク質量が微量であるために同定ができないことが多いということであった.
ISSN:0031-9082