片麻痺患者の杖歩行の分析

杖歩行が自立した脳血管障害片麻痺患者60例を対象に, 床反力計を用いた歩行分析を施行し, 杖と患脚の床反力3方向成分ならびに時間距離因子の定量的解析を行った. 杖の垂直成分は, 患脚の垂直および駆動成分との間に負の相関があり, 患脚の機能が低いほど大きい傾向にあった. 杖の前後ならびに左右成分は患脚のいずれの成分とも相関を示さず, 患脚の機能や歩行様式の違いによる差を認めなかった. 杖なし歩行では杖歩行に比べて, 患脚の垂直・左右成分と歩調, 歩隔が大きくなり, 歩幅が小さくなったが, 患脚の前後成分には変化を認めなかった. 片麻痺患者における杖の役割は, 患脚の支持性の低下を補い, 側方安定...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inリハビリテーション医学 Vol. 28; no. 1; pp. 27 - 37
Main Author 永田雅章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 1991
Online AccessGet full text
ISSN0034-351X

Cover

More Information
Summary:杖歩行が自立した脳血管障害片麻痺患者60例を対象に, 床反力計を用いた歩行分析を施行し, 杖と患脚の床反力3方向成分ならびに時間距離因子の定量的解析を行った. 杖の垂直成分は, 患脚の垂直および駆動成分との間に負の相関があり, 患脚の機能が低いほど大きい傾向にあった. 杖の前後ならびに左右成分は患脚のいずれの成分とも相関を示さず, 患脚の機能や歩行様式の違いによる差を認めなかった. 杖なし歩行では杖歩行に比べて, 患脚の垂直・左右成分と歩調, 歩隔が大きくなり, 歩幅が小さくなったが, 患脚の前後成分には変化を認めなかった. 片麻痺患者における杖の役割は, 患脚の支持性の低下を補い, 側方安定性を確保することにあると考えられる.
ISSN:0034-351X