脳卒中片麻痺の基本動作能力の難易度順位について
脳卒中片麻痺患者の各基本動作間の難易度は, 一般的には寝返り, 起座, 起立, 歩行の順に難しくなると言われるが, その順位の異なる者の比率とその原因について検討するため片麻痺患者40名を対象に調査した. 一般的順位と同じ「同群」は29名, 異なる「異群」11名で, このうち起座が不可で起立, 歩行が可の「異群(1)」は9名であった. 「異群(1)」は股伸展0°以下と体幹回旋制限5°以上において「同群」と有意差があり, 異群(1)のうち寝返り, 起座とも不可の群では体幹屈曲5°以上制限にも有意差を認め, これらの動作困難の原因として股・体幹可動域制限の影響が示唆された. 対象者が高齢で, 物的...
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Published in | 理学療法科学 Vol. 13; no. 2; pp. 73 - 78 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
理学療法科学学会
20.05.1998
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ISSN | 1341-1667 |
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Summary: | 脳卒中片麻痺患者の各基本動作間の難易度は, 一般的には寝返り, 起座, 起立, 歩行の順に難しくなると言われるが, その順位の異なる者の比率とその原因について検討するため片麻痺患者40名を対象に調査した. 一般的順位と同じ「同群」は29名, 異なる「異群」11名で, このうち起座が不可で起立, 歩行が可の「異群(1)」は9名であった. 「異群(1)」は股伸展0°以下と体幹回旋制限5°以上において「同群」と有意差があり, 異群(1)のうち寝返り, 起座とも不可の群では体幹屈曲5°以上制限にも有意差を認め, これらの動作困難の原因として股・体幹可動域制限の影響が示唆された. 対象者が高齢で, 物的介助起立・平行棒内歩行と低い能力レベルで, 半側無視例が多くいたことが, このような動作難易度順位の逆転現象の誘因として考えられた. |
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ISSN: | 1341-1667 |