終末糖化産物(AGEs)と椎間板変性
要旨:近年の加速する高齢化社会において, 椎間板変性の発症機序を解明・整理することはますます重要となり, 臨床および基礎分野においてさまざまな研究が行われている. そこで, 今回われわれは最近注目されている老化関連物質である終末糖化産物(AGEs)と椎間板変性の関係について検討し, 髄核におけるaggrecan分泌がAGEsの濃度かつ作用時間依存性に減少することを明らかにした. さらに, 炎症性サイトカイン(IL-1β)が椎間板細胞のRAGE発現を上昇させることを確認しており, 炎症による椎間板変性の悪性サイクルの可能性を示唆した. 現在のところ, この機序がAGE化タンパクによる直接的な作用...
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Published in | 日本腰痛学会雑誌 Vol. 14; no. 1; pp. 58 - 62 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腰痛学会
30.10.2008
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ISSN | 1345-9074 |
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Summary: | 要旨:近年の加速する高齢化社会において, 椎間板変性の発症機序を解明・整理することはますます重要となり, 臨床および基礎分野においてさまざまな研究が行われている. そこで, 今回われわれは最近注目されている老化関連物質である終末糖化産物(AGEs)と椎間板変性の関係について検討し, 髄核におけるaggrecan分泌がAGEsの濃度かつ作用時間依存性に減少することを明らかにした. さらに, 炎症性サイトカイン(IL-1β)が椎間板細胞のRAGE発現を上昇させることを確認しており, 炎症による椎間板変性の悪性サイクルの可能性を示唆した. 現在のところ, この機序がAGE化タンパクによる直接的な作用なのかRAGEを介する作用なのかは明確にされていないが, いずれにせよ, AGEsの蓄積が生体内のさまざまな場所で, 加齢性疾患の原因となっている可能性は大きい. 「I. 髄核の褐色変性」変性椎間板が起こす髄核の褐色変性(図1)(Coventry et al, 1945)の本態については, 以前より, 出血によるヘモジデリンの沈着(HARRIS RI, MACNAB I, 1954), 髄核の壊死(Bijlsma F, Peereboom JW, 1972), PAS陽性細胞外顆粒状物質(Pritzker KP, 1977)などがいわれていた. |
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ISSN: | 1345-9074 |