脳卒中片麻痺患者の立位バランスの決定因
歩行可能な脳卒中片麻痺患者50症例を対象として, 10 m距離の最大歩行速度, 立位時の両足圧中心累積移動距離(SP), 両膝伸展・屈曲の等速性筋力を測定し, 年齢や性などの個人情報および神経学的所見との関連を検討した. 重回帰分析の結果では, 最大歩行速度の決定因は患側膝伸展力とSPであり, 筋力が低く, SPが大きいほど歩行速度は遅かった. SPの決定因は開眼時では患側膝伸展力, 発症からの期間, 体重, 閉眼時では患側膝伸展力, 感覚障害, 年齢であった. 脳卒中後, 立位バランス保持の感覚運動機能は視覚系への依存が高まり, その再統合にはかなりの時間を要する. はじめに 起立位のバラン...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 30; no. 6; pp. 399 - 403 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
01.06.1993
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 歩行可能な脳卒中片麻痺患者50症例を対象として, 10 m距離の最大歩行速度, 立位時の両足圧中心累積移動距離(SP), 両膝伸展・屈曲の等速性筋力を測定し, 年齢や性などの個人情報および神経学的所見との関連を検討した. 重回帰分析の結果では, 最大歩行速度の決定因は患側膝伸展力とSPであり, 筋力が低く, SPが大きいほど歩行速度は遅かった. SPの決定因は開眼時では患側膝伸展力, 発症からの期間, 体重, 閉眼時では患側膝伸展力, 感覚障害, 年齢であった. 脳卒中後, 立位バランス保持の感覚運動機能は視覚系への依存が高まり, その再統合にはかなりの時間を要する. はじめに 起立位のバランス保持能力低下は筋力低下と並んで脳血管障害による片麻痺患者の歩行障害の決定因として重要である1~4). |
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ISSN: | 0034-351X |