維持期高齢者に対する観察視点

要旨:維持期高齢者に対するリハビリテーションの効果判定に際しては, 生きがいやQOLの程度を読み取ることが多い. しかし, このような観察・記録の技術には経験が必要で, 評価の着眼点に悩むことが多いのではないだろうか. 本研究では, 維持期リハを受けている高齢者のカルテから, 経験ある各職種のスタッフによる観察に基づく記述を抽出し, KJ法を利用して抽出したデータをカテゴリー化した. その結果, 11項目の上位カテゴリーを持つ評価用紙を作成することが出来た. また, 職種によって着眼点に差があり, 情報がやや偏ってしまうことが分かった. したがって, どの職種のスタッフでも全体的に評価できるよ...

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Published in理学療法科学 Vol. 15; no. 4; pp. 161 - 165
Main Authors 森舞子, 小林隆司, 金村尚彦, 白濱勲二, 吉村理
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 理学療法科学学会 20.11.2000
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ISSN1341-1667

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Summary:要旨:維持期高齢者に対するリハビリテーションの効果判定に際しては, 生きがいやQOLの程度を読み取ることが多い. しかし, このような観察・記録の技術には経験が必要で, 評価の着眼点に悩むことが多いのではないだろうか. 本研究では, 維持期リハを受けている高齢者のカルテから, 経験ある各職種のスタッフによる観察に基づく記述を抽出し, KJ法を利用して抽出したデータをカテゴリー化した. その結果, 11項目の上位カテゴリーを持つ評価用紙を作成することが出来た. また, 職種によって着眼点に差があり, 情報がやや偏ってしまうことが分かった. したがって, どの職種のスタッフでも全体的に評価できるような観察尺度の必要性が高いと思われる. 維持期高齢者に対するリハビリテーションは, 急性期・亜急性期の患者に対するそれと異なる点が多々ある1). 特に効果判定に際しては, 従来私達が行っている一般的な評価項目(身体機能やADL等)からはなかなか変化が得られにくい. それよりも, 参与観察に基づいた文脈的・物語的な展開2)から, 生きがいやQOLの程度を読み取ることが多い. さらにこのような観察・記録の技術は, 明確な指針がなく, 臨床経験によって培われるとされているので, 維持期高齢者を担当して評価の着眼点に悩む人も多いのではないだろうか. そこで, 本研究では, 臨床経験のあるスタッフがどのような観点で維持期高齢者を観察しているかをカルテから抽出し, 検討を加えた. また最後に, そのエッセンスから作製した観察評価を提示する.
ISSN:1341-1667