衝動的な暴力行為がみられる児童へのチーム支援 対人関係・感情のコントロールへの援助を通して

小・中学校における暴力行為の発生件数は増加しており,その対応には生徒指導と教育相談が一体となったチーム支援の必要性が言われるようになっている。本稿では,対応チームによる暴力行為の解消を目指した事例を報告し,チーム支援の有効性について考察した。本事例では,暴力行為の発生後から,対応チームを組織し,被害児童らと加害児童に事実確認を行った。次に,衝動的な暴力行為の解消と被害児童の不安感の改善を目指して,チーム支援を行った。アセスメントから,適切なソーシャルスキルを身に付けていないこと,感情のコントロールの困難さがあることが考えられた。そこで,別室での指導,教室での部分的な活動参加,教室への完全復帰の...

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Published in教育カウンセリング研究 Vol. 13; no. 1; pp. 39 - 45
Main Authors 益子 洋人, 吉田 武史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本教育カウンセリング学会 30.03.2025
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ISSN2185-4467
2433-751X
DOI10.24665/jjec.13.1_39

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Summary:小・中学校における暴力行為の発生件数は増加しており,その対応には生徒指導と教育相談が一体となったチーム支援の必要性が言われるようになっている。本稿では,対応チームによる暴力行為の解消を目指した事例を報告し,チーム支援の有効性について考察した。本事例では,暴力行為の発生後から,対応チームを組織し,被害児童らと加害児童に事実確認を行った。次に,衝動的な暴力行為の解消と被害児童の不安感の改善を目指して,チーム支援を行った。アセスメントから,適切なソーシャルスキルを身に付けていないこと,感情のコントロールの困難さがあることが考えられた。そこで,別室での指導,教室での部分的な活動参加,教室への完全復帰の3段階のプロセスで,ソーシャルスキルを身に付けるための指導と感情のコントロール力を高める支援を行った。その結果,暴力行為が解消し,トラブルの少ない学校生活を送れるようになった。このような実践から,別室での指導,段階的な教室での活動,定期的に実施したケース会議といったチーム支援による暴力行為の解消に対する有効性を考察した。さらに課題として,チーム支援による予防的アプローチの充実と情報共有の手立ての改善などが挙げられた。
ISSN:2185-4467
2433-751X
DOI:10.24665/jjec.13.1_39