環境規制が汚染集約産業の立地決定に及ぼす影響 日本の対外直接投資についてのパネル・データ分析

環境規制の緩い国へ投資が惹きつけられるとする汚染逃避効果について,先行研究では,同効果を支持する結果もあれば逆の結果もある.本稿では,環境配慮への関心が高まっている日本に関し,製造業のうち汚染集約的なパルプ・製紙産業,化学・医療産業,鉄・非鉄・金属産業の3つの産業で,2006~2016 年の対外直接投資が投資先(北米,欧州,アジア大洋州の24か国・地域)の環境規制の緩急に影響されているか,環境関連条約の批准状況を代理変数として計量的に分析した.その結果,パルプ・製紙産業及び化学・医療産業で一部のモデルで正の効果が,鉄・非鉄・金属産業でほぼすべてのモデルで正の効果が推定され,汚染逃避と逆の効果が...

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Published in環境経済・政策研究 Vol. 12; no. 1; pp. 1 - 16
Main Author 林田, 明子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 環境経済・政策学会 28.03.2019
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ISSN1882-3742
2188-2495
DOI10.14927/reeps.12.1_1

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Summary:環境規制の緩い国へ投資が惹きつけられるとする汚染逃避効果について,先行研究では,同効果を支持する結果もあれば逆の結果もある.本稿では,環境配慮への関心が高まっている日本に関し,製造業のうち汚染集約的なパルプ・製紙産業,化学・医療産業,鉄・非鉄・金属産業の3つの産業で,2006~2016 年の対外直接投資が投資先(北米,欧州,アジア大洋州の24か国・地域)の環境規制の緩急に影響されているか,環境関連条約の批准状況を代理変数として計量的に分析した.その結果,パルプ・製紙産業及び化学・医療産業で一部のモデルで正の効果が,鉄・非鉄・金属産業でほぼすべてのモデルで正の効果が推定され,汚染逃避と逆の効果が示された.
ISSN:1882-3742
2188-2495
DOI:10.14927/reeps.12.1_1