信仰に基盤を置いた支援 ー 天理教里親を事例に ー

本稿は、天理教を信仰しながら里親養育を実践している天理教里親に注目し、第1に天理教里親がどのような里親養育を実践しているのか、第2にそうした実践がどのように信仰と関連付けられているのか/いないのか、第3にそうした実践がどのような帰結を導きうるのか、インタビュー調査から得られたデータへの分析を元に考察するものである。結果、天理教里親は、里親受託の判断における無限定性、里親養育の時間的な無限定性、支援対象の無限定性といった特有の無限定性を有しながら里親養育を実践していることが明らかとなった。また、そうした特有の里親養育実践は、「いんねん」をはじめとした天理教の教義に基づいて展開されていることも析出...

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Published in西日本社会学会年報 Vol. 22; pp. 25 - 39
Main Author 桑畑, 洋一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本社会学会 2024
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ISSN1348-155X
2434-4400
DOI10.32197/sswj.22.0_25

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Summary:本稿は、天理教を信仰しながら里親養育を実践している天理教里親に注目し、第1に天理教里親がどのような里親養育を実践しているのか、第2にそうした実践がどのように信仰と関連付けられているのか/いないのか、第3にそうした実践がどのような帰結を導きうるのか、インタビュー調査から得られたデータへの分析を元に考察するものである。結果、天理教里親は、里親受託の判断における無限定性、里親養育の時間的な無限定性、支援対象の無限定性といった特有の無限定性を有しながら里親養育を実践していることが明らかとなった。また、そうした特有の里親養育実践は、「いんねん」をはじめとした天理教の教義に基づいて展開されていることも析出された。天理教里親の里親養育が実践されることにより、里子とその周辺にいる人々といった相対的に狭い範囲においても、里親養育がなされる場を抱える地域社会においても、支援の網が強化され、困難な状況に置かれた人々がそこに(再)包摂されていくことが本稿から見えてきた。また加えて、天理教里親等信仰と福祉的実践がいかに結びついておりそれがどのような帰結を導くのか、個々の実践に根差しながら分析を行っていく重要性もまた、本稿を通して示唆された。
ISSN:1348-155X
2434-4400
DOI:10.32197/sswj.22.0_25