高等学校におけるSTS教育の実践例 暮坪カブの組織培養
高校の授業の課題に,生徒たちが住む地域社会の課題を取り入れることにより,生徒達に大きな興味関心を抱かせることを期待した.本研究では,我々の農業高校において,STS教育を試みた.そこで生物工学の課題として植物組織培養を取り上げ,材料として遠野地方特産の「暮坪カブ」を用いた.植物組織培養を応用した本課題は,この植物の無菌苗の作出を目的とした.まず,Hyponex培地に,無菌播種を行った.種子から発芽した植物体から,成長点を取り出し,植物ホルモンのα-ナフタレン酢酸(NAA)およびカイネチン(KIN)を添加したMurashige and Skoog培地(MS)(Murashige, and Skoo...
Saved in:
| Published in | 生物教育 Vol. 41; no. 2; pp. 50 - 56 |
|---|---|
| Main Authors | , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本生物教育学会
2001
|
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0287-119X |
| DOI | 10.24718/jjbe.41.2_50 |
Cover
| Summary: | 高校の授業の課題に,生徒たちが住む地域社会の課題を取り入れることにより,生徒達に大きな興味関心を抱かせることを期待した.本研究では,我々の農業高校において,STS教育を試みた.そこで生物工学の課題として植物組織培養を取り上げ,材料として遠野地方特産の「暮坪カブ」を用いた.植物組織培養を応用した本課題は,この植物の無菌苗の作出を目的とした.まず,Hyponex培地に,無菌播種を行った.種子から発芽した植物体から,成長点を取り出し,植物ホルモンのα-ナフタレン酢酸(NAA)およびカイネチン(KIN)を添加したMurashige and Skoog培地(MS)(Murashige, and Skoog 1962)で培養した.その結果,MSおよびHyponex培地にNAA0.5mgl−1ぉよびKIN2.0mgl−1添加したものが,成長点培養に適していた.生育した植物体は,発根のためバーミキュライトを入れた試験管内へ移植し,そしてこれを畑に植え,植物を成長させた.成長した植物体の辛味成分を分析したところ,通常の栽培による植物体と組成および量にほとんど違いはなかった.この研究課題に生徒達は,大変積極的に取り組んだ.また,この研究は「暮坪カブ」の苗を地域農家に供給できる可能性を示した. |
|---|---|
| ISSN: | 0287-119X |
| DOI: | 10.24718/jjbe.41.2_50 |